【愛のレッスン123】 「ガマ仙人さ〜んv おべんと作ってきたよ〜v」 自来也が水べりでナルトの修行を見ることになり、カカシとのやり取りの一件ですっかりを気に入ってしまった自来也は、に、いつでも遊びに来い、イヤ来てくれ、と約束した。 は自来也の好みのモロにストライクな為、明るく誰にでも優しい性格、男なら大抵誰もが振り返る美しい容姿とナイスバディに、自来也が放っておく筈もなかった。 ナルトの修行など殆ど見ずにもっぱら覗きばかりしている自来也、が来ると豹変して、を小説のネタに、と熱烈に構ったものだった。 「お〜ぅ、待っとったぞ。今日のおかずは何かのォ」 たわわに豊満な胸を揺らしながら、ミニスカートを翻し、は大きなバスケットを抱え、河原に降りる。 目の保養、と自来也は喜ぶ。 「えへ。ガマ仙人さん、和風がお好きだって聞いたから、和食にしましたv」 おかずを読み上げながら、バスケットを開けて広げていく。 「の料理は何でも美味いから、別に洋風でも構わんのォ」 何事もチャレンジだのォ、と自来也はしゃがんでいるの足の間に視線を落としつつ、白いモノを確認すると鼻の下を伸ばし、パイプを吹かせた。 「おっと・・・は煙草が嫌いかのォ」 自称・紳士を気取る自来也は、気配りも忘れない。 「大丈夫ですよぉ、気にしないで吸って下さいv 私、カカシせんせぇが和食好みだから、こっちの方が得意なんです」 ニコ、と微笑んでは箸を渡した。 「ナルト君も一緒に食べようって言ってこなくちゃ。ナルトく〜ん! お昼ご飯食べよ〜っ!」 離れた先で口寄せに難儀しているナルトに向かって、は手を振って声を掛ける。 頭を抱えて悶絶していたナルトはに気が付き、腹をさすりながらやってきた。 「あ〜、腹減ったってば。姉ちゃん、いつもサンキューな」 美味そ〜、とナルトも傍らに腰を下ろす。 「ナルト君、一杯食べてねv」 答える代わりに、いっただっきま〜す、と元気よく食べ始めるナルト。 「儂の分が無くなるのォ。半人前は遠慮するモンだの」 うりうり、と意地悪をしたがる自来也に、ナルトは抗議の目を向ける。 「うっせ〜ってばよ! オレこれでも頑張ってんの!」 「それにしちゃ成果が出とらんのォ」 「どれくらい出来るようになったの?」 「う・・・まだオタマジャクシ・・・」 の問いに、ナルトは所在なげに小さくなる。 「センス悪いのォ」 「口寄せって高等忍術なんでしょ? ナルト君、影分身が出来るようになったんだから、口寄せだってきっと出来るようになるよ。諦めずに頑張ってね」 ニコ、とは優しく励ます。 「姉ちゃんはすぐに影分身も口寄せも出来たんだろ? ずり〜よ、見ただけで出来るなんて」 ぶ〜ぶ〜、とナルトは膨れる。 「それがセンスの問題だのォ」 「な〜、エロ仙人〜、ちっとはコツ教えてくれってばよ。一日中、覗きしてるか姉ちゃんと遊んでばっかで、ちっとも見てくれないじゃん! むっつりスケベの代わりに修行見てくれる約束だってばよ。忘れたなんて言わせないってば」 「術というものは、一度見せてもらえば、己を知り、自ずと磨いて気付いていくモノなんだのォ。会得できるか否かは、教わって身に付くものではない、自分で見つけてこそ身に付くんだのォ」 「コツくらいい〜じゃんっ!」 「オマエは飲み込みが悪すぎる。百の言葉を言ったとて、一も二も理解しないようなヤツに、いくら言っても無駄なんだのォ」 「何かそれって〜、オレってすっごい馬鹿みたいに聞こえるってばよ!」 「おぉ、それは分かっとるんだのォ」 自来也の悪態に、ナルトは頬を膨らませて口を尖らせ、へそを曲げた。 「ゴチソウサマでしたっ。姉ちゃん、今日も美味かったってばよ。オレ修行に戻る!」 プン、と顔を背け、ナルトはすたすたと戻っていった。 「あ、うん。頑張ってね〜v」 「は食わんのか?」 残った料理を食べながら、いつも儂らばっかり食べとるが、と自来也は問うた。 「私はアカデミーでゲンマさんと食べてるから、今はお腹一杯ですv 本当は皆で一緒に食べられれば良いんですけど、ゲンマさん、余り長く離れられないからって、断られちゃって」 だからいつも来るの遅くなってゴメンナサイ、とはぺこりと頭を下げた。 「ゲンマはと2人っきりが良いんだろうのォ。儂は構わんよ。ナルトに夕飯も作っとるんだろ? 大変だのォ」 「一杯食べて栄養つけてもらって、修行のお手伝いになればいいなぁって思ってるんで、大丈夫ですv ガマ仙人さんは宿に泊まってるんでしょ? 木の葉に自宅って無いんですか?」 木の葉の忍びなのに、とは問う。 「昔旅に出る時に、全て処分してのォ。根無し草をやっとるよ。風の吹くまま、気の向くまま、それも良いんだのォ」 「また今日も旅のお話聞かせて下さいv」 「そうだのォ・・・今日は何が良いかのォ・・・」 食後の茶を啜りながら、ポツリ、ポツリと自来也は語った。 それを目を輝かせて、は聞き入っている。 見たことのない世界の色んな話。 好奇心旺盛なの心をくすぐるには、充分だった。 旅先での事件や、地方の習わし。 書物で読み聞いてはいても、実際に語られるそれに勝るものはなかった。 「・・・それが隣国の茶の国の習わしになったんだのォ」 「忍びより早いんですか?」 「よりけりだのォ。はどれくらい出来るようになったかのォ」 「う〜んと、ゲンマさんは、普通の下忍レベルの脚力だって言ってました」 「そうか。カカシと任務したいなら、もう少し頑張らないとイカンのォ」 カカシはカナリの俊足だぞ、と付け加える。 「そうですよね〜。頑張りますv 足手まといはイヤだもん」 「おなごは非力だからのォ。まぁ、例外もおるが・・・」 「一杯頑張って強くなって、カカシせんせぇに褒めて貰いたいな〜v 驚かせた〜いv」 バスケットを片付け、は石の上に足を投げ出した。 自来也は舐めるように長く白い脚を見遣る。 「褒美を身体で貰うんだのォ。そうしたらまた儂に教えてくれんかのォ」 自来也は、とカカシの赤裸々な生活を、一部始終、から聞き出したのだった。 「身体で貰う? どうゆうのですか?」 純粋なはその意味を知らない。 「酔っぱらったカカシは目一杯に優しくしてくれただろう?」 「うんv すっごく嬉しかったですv」 「もっともっと嬉しくなれるんだのォ」 下卑た笑みを浮かべ、をけしかける。 「ホントですか? わ〜い、もっと頑張ろ〜v」 立ち上がったは、軽快に石の上を歩き、ゲンマさんにレベル上げてって言わなきゃ、と水の上に立ってくるんと振り返った。 「ゲンマは優しいかのォ?」 「優しいですよ〜v でも時々厳しいこともゆってくれるから、そういうトコも大好きですv 修行の時とか、カッコイイしv」 きゃ、と微笑むは、端から知らぬ者が見れば、ゲンマに恋してるようにしか見えなかった。 それを見て、取材のネタになる、と踏んだ自来也は、面白いコトを思いついた、とを見遣った。 「どうせなら夜の修行も見て貰えばいいんだのォ」 「夜の修行? 修行はいつも夜してますよ?」 「違う違う。ゲンマに言えば分かるんだのォ。ゲンマに言うてみぃ。夜の修行も付けてv と上目遣いに甘えれば、ゲンマは喜ぶぞ」 「へ〜っ。ゲンマさんにはお世話になりっぱなしだから、何か喜んで貰えること探してるんです〜。お風呂に入る時も、身体洗いっこしようねって言っても、嫌がるし。何でかなぁ・・・」 水の上を輪を描いて歩きながら、カカシせんせぇもそうだし、とは考え込む。 「何、照れとるだけなんだのォ。本音は嬉しいんだのォ。照れ隠しだから、どんどんやって構わんのォ」 これより面白いことはない、と言わんばかりに、自来也はけしかける。 他の忍びからも聞いている。 今木の葉でもっともホットな話題は、木の葉の里のアイドル・と、カカシ・ゲンマの三角関係だ、と。 皆素知らぬふりをしていて、当人達は気付いていないが、実際は、カカシ派・ゲンマ派、と派閥が出来ていて、それぞれ応援している、という噂だ。 上忍・下忍がカカシ派で、特別上忍・中忍がゲンマ派らしい。 勿論、派閥に入らず、に恋心を抱き、隙あらば、と思っている者も少なくない。 「カカシせんせぇも本当は嬉しいの? ゲンマさんも?」 「そうだのォ。男はそういうモンだのォ。女の前では格好付けて本音を隠したがるから、が真っ直ぐぶつかり続ければ、本音も顔を出すんだのォ」 「よ〜っし。頑張る〜!」 パシャパシャと戻ってきたは水着に着替え、滑らかな肢体を躍動させながら、水遊びを楽しみ、自来也に目の保養をさせたのだった。 明くる日、またいつものように自来也から旅の話を聞き、恋愛ごとの手ほどきを受けると、自主修行に入った。 最初は水着で水遊びをしているだけだったが、水面歩行の業をしながらチャクラを練ったり、影分身をしたり、体裁きの修行を自来也に見てもらった。 ナルトの時とは違い、自来也はには懇切丁寧、教えを施した。 時々脱線して、更なる目の保養にしかならないことが多かったが、は気が付かないでやっていた。 「・・・ま、後はその応用をゲンマとやってみるんだのォ」 「は〜いv」 「他には、修行以外で知りたいことはないかのォ」 「う〜んと・・・あ! そだ。あのね、明日、ゲンマさんお誕生日なんだって。お誕生日会しようと思うんですけど、やり方分からなくって。ガマ仙人さん、どんなコトしたらゲンマさん喜ぶかなぁ?」 水の上に座り、膝を抱えて自来也を見上げた。 「ほう。ゲンマのヤツ、明日が誕生日か。幾つになるんかのォ」 「29だったかな。私の6コ上」 「来年は三十路か。男は30からだのォ。50の儂もまだまだ行けるんだのォ」 「プレゼントって、何喜んでくれるかなぁ? 料理は、かぼちゃのフルコースって決まってるし・・・トレードマークの千本は、特注でカカシせんせぇから届くって言うし・・・好きな小説は自分で選びたいって言ってるし、何が良いんでしょう?」 「プレゼントなんてモノは、その身一つでいいんだのォ」 「え? ソノミヒトツ?」 「ゲンマが喜ぶプレゼントと言ったら、一つだのォ。、オマエをプレゼントすればいいんだのォ」 「私? どゆ風に? 私にリボン掛ければいいんですか?」 「どれ、儂が良いモノを買ってやろう。買い物に行くぞ。付いてこい、」 自来也が河原で手招きするので、は立ち上がって駆け寄り、着替えて商店街に向かった。 「ナルト君見てなくていいんですか?」 「な〜に、1人で悶絶させとくんだのォ。儂などいなくとも、自分で何とかせにゃならんからのォ」 道中、自来也は“お誕生日会”とはどういうものか、に話して聞かせた。 「じゃあ、大勢の人がいた方が楽しいですよねっ。ガマ仙人さんも来て下さいv」 「いやいや、儂は遠慮するよ」 「え〜っ、何でですかぁ?」 「ゲンマはと2人っきりの方が良いだろうからのォ。それが儂からゲンマへのプレゼントだのォ」 「変なプレゼント〜。やっぱり大勢に祝ってもらいたいなぁ・・・誰か来てくれないかなぁ」 ふと、通りの先に人生色々を目に留める。 「あ、夕方だから、誰かいるかな。ちょっと行ってこようっと」 は軽快に駆けていき、詰め所内に入っていった。 自来也は息を吐きながら、後を付いていった。 「ゴメンクダサ〜イ・・・」 「あら。珍しい組み合わせね。自来也様とデート?」 報告書を書いている紅が、2人を見つけた。 「どうされました? 詰め所に来られて。が何か?」 提出してきたらしいアスマがやってくる。 「イヤ何・・・」 「あの〜、紅せんせぇとアスマせんせぇは、明日の夜お時間ありますか?」 「明日?」 の背後で、気付かれないように自来也が否定するように手を振っていた。 「何かあるの?」 「明日、ゲンマさんのお誕生日だから、お祝いを皆でしたいなって」 「あぁ・・・そういえばそうね」 「アイツももう29か。月日が経つのは早ぇな」 「で、是非来て頂きたいんですけど・・・」 自来也が背後で、断るように手を交差させていた。 言われるまでもなく、アスマと紅はゲンマをと2人っきりにさせてやるつもりだった。 「悪ぃな、シカマルに修行付けてやる予定でな。本戦控えてるし」 「私もシノにね・・・」 「え〜っ、そんなぁ、残念〜っ」 「2人で楽しめばいいだろ? な?」 「でも〜・・・。他に誰かいないかなぁ」 きょろきょろ、とは見渡した。 任務から帰ってきたらしいライドウとアオバがやってくる。 「アレ、じゃねぇか。ゲンマじゃなくて、自来也様と一緒なのか?」 「ライドウさんとアオバさんだ! あの〜、明日って夜お時間無いですか?」 「は?」 明日、という単語でピンと来たライドウは、全ての事情を咄嗟に理解した。 「悪い、任務入ってんだ。時間は無いな」 「え〜っ。アオバさんも?」 「あぁ。特別上忍はこの時期忙しいからな。ゲンマだって毎日忙しいの、知ってるだろ?」 「の面倒見るように、火影様が配慮して下さってるから、オレ達よりは融通利くけどな」 「え〜ん、ゲンマさんのお誕生日なのに〜〜〜」 は心底がっかりしていた。 「そうしょげるなよ。その分、が目一杯祝ってやれよ。それが、ゲンマが一番喜ぶからよ」 「そうそう」 皆の言葉に、自来也も後ろで頷いている。 「カカシせんせぇ帰ってこないかなぁ・・・」 「や、カカシは嫌がるだろ」 「ゲンマだって2人っきりの方が良いだろうし、カカシだって2人っきりになりたいだろうしな」 「え〜っ、カカシせんせぇもゲンマさんも、呼ぶには私がいたら邪魔ってコト?」 「そうじゃねえだろ・・・気味悪ぃコト言うな」 「“と”を抜かすから勘違いするのよ」 「ま、誰かしらの誕生日は毎年ちゃんと祝ってるんだが、今は都合付かなくてな。日を改めてゲンマは祝ってやろうと思うが、取り敢えず、、オマエだけで祝っといてくれ」 「は〜い・・・」 は、すっかりしょげていた。 「じゃあ、カカシせんせぇが、2ヶ月後ですよねっ。カカシせんせぇの時は皆さん来てくれますか?」 「そんな先のことは分からねぇな。カカシはと2人っきりでいたいだろうから、先に同じ、だ」 「大勢でお祝いしたいのに〜」 「それはまた別で、改めてするわよ。取り敢えず、アンタだけで祝ってあげといてよ」 「、分かっただろう。皆、忙しいんだのォ。だから諦めるんだのォ。買い物が残っているだろう。行くぞ」 自来也がしょげているの腕を引っ張り、外を促した。 「あ〜ん・・・皆さんでお祝いする時は呼んで下さいね〜〜〜!!!」 エコーがかかりながら、は後ろ髪引かれるように出て行った。 自来也に連れられて裏路地の怪しい店に連れてこられたは、物珍しいもの達が並ぶのに、しゅんとして俯いていた。 「そんなに大勢が好きなんかのォ、は」 「ワイワイするのって、楽しいじゃないですか〜。飲み会、とかやりたいよ〜〜〜!!」 「賑やかなのが好きなんだのォ。儂も嫌いではないぞ。そのうち呑みに付き合わんか、」 「いいんですかっ?! お酒呑みた〜い!」 途端に目を輝かせる。 「ゲンマさんとも行く約束してるんですけど、まだ実現してないんです〜。お酒呑むと嬉しくなれるから、飲み会大好きですv」 「そうかそうか、楽しみだのォ」 が酔わないことを知らない自来也は、色々と妄想して、浸っていた。 「ここでは何を買うんですか? 何か、きらきらした服とかがいっぱいありますけど」 機嫌を戻したは、改めて店内を見渡す。 いかがわしい服や道具だらけだった。 「パーティー用のドレスを買うんだのォ。このドレスが似合いそうだのォ。試着は出来るのか?」 マネキンの着ている、露出の多い派手なドレスを指し、店員に伺う。 男の店員はひそひそと耳打ちする。 “これは下着を身につけずに素肌に直接着用するものですので、試着の場合は下着を身につけたままして頂きますので、雰囲気は出せませんが・・・” 「そうか。では、これに決めるかのォ。着方を教えてやりたいから、着せてやってくれんかのォ」 「さようでございますか。少々ご面倒ですので、お教えさせて頂きます。奥の方へどうぞ」 奥に連れられていったは、女性の店員に、着方を教えて貰いながら身につけていった。 「え〜、結構難しいですね。明日1人で着られるかなぁ」 「説明書をおつけしますので、その通り着てみて下さい」 そのような会話が交わされながら、ごそごそと整っていく。 「着れたかのォ?」 「着れました〜」 どうぞ、とカーテンが開かれると、雰囲気を出す為に纏め上げられた髪型も相まって、大層派手に見栄えが良かった。 「おぉっ、良いのォ、良いのォ、ゲンマにやるには勿体ないのォ」 「この首のリボンはどうなってるんですか?」 正に、“私をプレゼントv”に相応しい、リボンに包まれたプレゼントのようなドレスだった。 「リボンを解きますと、ドレスが一枚の布になってはらりと落ちるようになっております」 「ほぉ。それは一層良いのォ」 「え・・・よろしいので?」 「儂は構わんのォ」 でへ、と自来也は期待する。 「あ、やっぱりいいです。ゲンマさんへのプレゼントだし、ゲンマさんに一番に見せなくっちゃ」 自来也はがっかりした。 「ま、いいかのォ」 再びカーテンの奥にを引っ込ませると、リボンを解かない、普通の脱ぎ方で脱ぎ、包装された。 会計を済ませ、自来也とは出て行く。 「ガマ仙人さん、カナリ高かったですよ〜。いいんですか?頂いちゃって」 「構わんのォ。儂、これでも物書きで印税がそれなりに入っとるから、ちょっとした金はあるんだのォ。おなごは気にせんで男からの貢ぎ物は喜んで受け取るんだのォ」 「そ〜ですかぁ? 有り難う御座います〜v」 極上の笑みで、は礼を言った。 「礼なら、して欲しいことがあるんだのォ」 揺れるたわわな果実をちらちら盗み見ながら、自来也は頬を染める。 「え? 何ですか? 何でも言って下さい、私に出来ることなら」 上目遣いに見上げる大きな黒玉に、自来也は吸い込まれそうだった。 「腕を組んで歩きたいんだのォ」 「え、そんなことですか? それだけ?」 「ダメかのォ?」 「いいですよ〜、他にも何かあったら言って下さいねv」 は気にも留めず、自来也の腕に絡み付いた。 「筋肉質〜。腕がっしりしてますね〜v すっご〜いv」 カカシせんせぇやゲンマさんより太〜い、とは喜んだ。 「そうかのォ」 ふくよかで柔らかな膨らみが押し付けられ、歩く振動でグイグイ押され、自来也はご機嫌だった。 ドレス代のおつりが来る、と。 「で、私をプレゼントって、どうすればいいんですか?」 「食事が終わった最後に、デザートがある、と言って待たせるんだのォ。デザートは私、と言って、ゲンマにリボンを解かせるんだのォ。そうしたら、私を食べて、と言って、ゲンマの胸に飛び込めば、後はゲンマの望むようにすればいいんだのォ。誕生日というのは、その者が一番の日で、何でも出来る、素晴らしい日なんだのォ。は、ゲンマの望むことを、させてやればいいだけだのォ」 「私はどうなるの?」 「ゲンマが喜んでくれたら、はどうかの?」 「嬉しいですv そっか、嬉しくなれるんなら、頑張っちゃお」 「結果報告、楽しみにしとるぞ」 「は〜いv あ、これって、カカシせんせぇの時にも出来ることですよね?」 「まぁ・・・そうだの」 自来也は、はどこまでも純粋で、疑うことを知らないな、と思った。 この三角関係はどうなっていくのだろう、と楽しみで仕方がなかった。 中忍選抜試験の本戦を間近に控え、ゲンマは多忙を極め、は1人置いてけぼり気味で寂しかった。 ゲンマは昼食を摂る暇もないらしく、に手伝えることでもなかった為、は1人で昼食を食べるよりは、とゲンマの分と分け、たまたま話し掛けてきたイルカを誘い、一緒に昼食を摂ったのだった。 棚からぼた餅で、イルカはの手料理を食べることが出来、中忍で唯一カカシ派のイルカも、この時ばかりは、隙あらば組に入りそうになったものだった。 が自来也達の元に向かうと、影でイルカがねちねちいびられていることを、は知らない。 とまどうイルカだったが、この時ばかりは、ナルトが教え子で良かった、と思ったのだった。 「ガマ仙人さ〜ん、ナルト君はどうですか〜?」 遅くなっちゃってごめんなさい、とはバスケットを持ってやってくる。 「あれ、いない。何処だろ・・・」 きょろきょろ、と辺りを見渡し、チャクラを頼りに、彷徨き回る。 「あれ〜? 何か、崖の方みたい・・・」 とてとて、と歩いていく。 すると、先の方で、いつもと同じように悪戦苦闘し、へとへとで果てているナルトが目に付いた。 傍に自来也もいる。 自来也がナルトをここへ連れてきたようだった。 「ダメだのォ。こうなったら、最後の手段しかないんだのォ」 「あ、ガマ仙人さん。最後の手段って?」 「九尾の力を引き出させるんだのォ」 「え? ナルト君、九尾の力を操れないんじゃ・・・」 「それを、これから気付かせるんだのォ。どれ・・・」 自来也はナルトに起きるよう促した。 虚ろな疲れ果てた表情で、ナルトは辺りを見渡す。 「修行は今日までだ。死にたくなかったら、自分で何とかしろ」 そう言って、自来也はナルトの額を小突いて後ろに突き飛ばした。 「なっ、何するんだってばよ〜〜〜っ!!!」 「ガマ仙人さん?! そこって、下は崖ですよ?!」 はビックリして、飛び出した。 「荒療治だのォ」 「深くて危険ですよっ!! ナルト君死んじゃいますよ!!!」 「何、大丈夫だのォ」 黙って見とれ、と自来也は下を促す。 心配そうにナルトの行く末を見守っていたら、突如、大きなチャクラがナルトから放出されたのを感じた。 「あ・・・九尾のチャクラ・・・」 口寄せの印を結ぶと、巨大なカエルが出現し、ナルトは九死に一生を得た。 「わ〜〜〜、おっき〜カエル〜。すご〜い」 は崖下を見下ろしながら、目を見開く。 「さて、儂らは行こうかの」 「え? ナルト君、チャクラ使い切ってもう動けないみたいですよ? 助けなきゃ」 「構わんでえぇよ。蝦蟇のヤツが病院にでも連れてってくれるだろう」 「え〜、病院に行くんなら、私治しますよ。ナルト君、厳しい修行続けてきて、くたくたじゃないですか〜」 「だからだの。オマエさんの能力で治すのも結構だが、ゆっくり休むことも必要だろう? 何、心配要らんよ。ナルトは寝てれば、九尾の力で回復できる。放っておけ」 「それもそっかぁ。本戦はすぐだもんね。後は休むだけなんだ」 「そうそう。祝いの代わりに、儂らは呑みに行こうかの」 「え・・・」 は、ゲンマと呑みに行った日のことを思い出し、躊躇った。 ゲンマが怖くて仕方がなかったからだ。 「何、儂は変なことはせんよ。楽しく呑むんだのォ」 優しく笑むと、自来也はに手をさしのべた。 「ゲンマは何故そんなことをしたかは分かるだろう?」 初めてくる居酒屋で杯を交わし、お通しに口を付けながら自来也はを見遣った。 「私に気持ちを気付かせる為だって言ってました。でも、やっぱり良く分かんないです」 料理も次々と並べられ、はグビグビ飲んでいく。 「は、カカシが好きで好きでたまらんのだろう?」 イケるのォ、と自来也も冷酒を口に運ぶ。 「ハイv 大好きですv」 いただきま〜す、と料理に口を付ける。 「で、ゲンマも好きだ、と」 これが美味いぞ、とに教える自来也。 「ハイv あ、でも、カカシせんせぇの方がずっとずっと好きですv」 「それだよ」 「え?」 「カカシが大好きで、特別な好きだ、と分かったんだろう?」 きょとん、とは自来也を見つめる。 「ゲンマを好き、と言うのとは、違う好き、だと分かったんだろう?」 「ん〜と、ハイ」 「ゲンマは、それをに気付かせる為に、わざとそういうことをやったんだのォ。は、イヤだ、と思ったんだろう?」 「ん〜・・・ハイ。カカシせんせぇなら良いけど、ゲンマさんのは怖かったからヤです」 ぷぅ、と口を尖らせる。 「それもわざとなんだのォ。ゲンマは、いつもは優しいだろう?」 「だから、あの時は怖くて、思わずバカ! って言っちゃった」 「本当はゲンマは、にはそう言う時は優しく接したい筈だろうし、実際、優しくしてくれるだろう。だが、はゲンマのモノではない。カカシのモノだ。だから、悪役を買って出て、やったんだのォ。だからゲンマを嫌わんで欲しいのォ」 「もう大丈夫ですよ〜。あの時は怖かったけど、今はもう優しいですからv ゲンマさんのことを好きなのに変わりありませんv あ、一番はカカシせんせぇですけどv」 ニコ、とは微笑んだ。 「それならいいがのォ。ゲンマが不憫でのォ・・・」 「ガマ仙人さん、私って、ゲンマさんに迷惑かけてばっかりだよね。どうしたらゲンマさんにお礼が出来るかなぁ?」 「いや・・・ゲンマの望むことは、叶わんことだからのォ・・・」 自来也は、に聞こえない程度にぼそぼそと呟いた。 「?」 はきょとんとして自来也を見つめる。 が、自来也は、面白いことが大好きだった。 「今まで通り、飯を一緒に食って、一緒に風呂に入って、一緒に寝てやればいいんだのォ。ゲンマに訊けばいい。何をして欲しいか。好きなこと、して欲しいこと、何でもするよ、って言うんだのォ」 「でも〜、別に今まで通りで良い、って言うんです〜」 「ゲンマにとっては拷問なんだのォ」 またポツリと呟く。 「え? 何ですか?」 「いや何でもない。、オマエがやりたいようにやればいいのォ」 「今まで通りで良いって事ですか? でもな〜、喜んでくれる顔見たいしな〜・・・」 「そんなことをしたらカカシに殺されるぞ、ゲンマは」 またもやポツリと呟く自来也。 「え?」 「いやいや。今のままで、充分ゲンマは喜んでるだろうよ。思う通りに尽くしてやればいい」 だが、との同棲生活をしてしまったせいで余計に思いが募り、辛い思いをしているだろうことは、自来也には容易に想像できたが、勿論口にはしなかった。 「ま、落ち着いたらゲンマを酒に誘ってみるか・・・」 多分何も口を割らないだろうが、と、さほど酒に強くない自来也は、ゲンマが里一の酒豪だと言うことを思い出し、気付かれないように薬でも盛るか幻術を使うか、と思考を巡らせていた。 「ゲンマさん、お酒強いですよ〜。酔っぱらったトコ見てみたいのに〜」 「、儂と飲み比べするかの?」 「いいですよ〜。何か賭けます? 勝った方の言うことを聞くとか〜」 まだ実現できてないし、今度こそ、とは思う。 「おぉ、良いのォ。は勝ったらどうして欲しい?」 さっきからカナリのハイペースで飲み続けながら、ほろ酔い気分の自来也は、がけろりとしていることに気が付かない。 「ん〜と〜。そだな〜・・・。じゃあ、カカシせんせぇも知らないような高等忍術教えて下さいv」 「そんなんでいいんかの?」 「ガマ仙人さんって、伝説の三忍って言うくらいだから、カカシせんせぇより強いんでしょ?」 「そりゃまぁ、そうだのォ」 「カカシせんせぇをビックリさせたいんだ〜v ガマ仙人さんは何が良いですか?」 このお料理美味しい、レシピ教えて貰えるかな、とパクパク食べる。 「な、何でも良いかのォ?」 頬を染めてを見つめる自来也。 「良いですよ〜v 何ですか?」 「ぱ・・・ぱふぱふさせてもらえるかのォ?」 スケベ心丸出しの顔で、の豊満な胸を見つめる。 谷間が、柔らかで心地好さそうだ。 「ぱふぱふ? どういうのですか?」 「儂が勝ったら教えるんだのォ」 「・・・? じゃあ、飲み比べ開始〜♪ カシスソーダおかわり下さ〜いv」 「儂は冷酒をくれ」 和気藹々、楽しく2人は飲み続けた。 「・・・でね、額当て貰って正式な忍者になったら、もっとちゃんと医療を学びたいんです〜。高位の医療忍者とかって、需要が多いのに供給が少ないから、殆ど任務に飛び回ってて、私に教えられる人がいないらしいんですよ〜。綱手様って人なら、木の葉で一番のスペシャリストだって聞いてるんですけど・・・」 「アイツもなぁ・・・儂と同じく、根無し草だからのォ。そうだの、綱手のヤツが里に帰ってきたら、ヤツと一緒に診て欲しい患者がいるんだのォ。頼まれてくれるかの」 「? いいですよ〜」 リーの存在を、この時はまだ知らなかった。 研究施設での成果が出ていなかった為、最近病院から足が遠のいていたのである。 実際、は被験体としての検査が、余り好きではなかった。 調べられていると、何とも言えない不快感が襲うからだ。 結果が出ているうちは、自分でも興味があったので我慢していたが、何も出てこなくなると、不快感ばかりが増したのだった。 故に、つい敬遠してしまっていたのだった。 「・・・綱手様だったら、私が何者か分かるかなぁ?」 「どうだろうのォ。儂に言えることは、は、ここから遙か東の、俗に言う地の果てにある、未知なる大陸の者だろうということだのォ」 「あ、それは火影様も仰ってました」 「うむ、伝え聞く文献と合わせると、顔立ちが神話に登場する神に近いということだのォ」 「神様?」 「噂によると、東の果ては、神の在す国が存在すると言われとる。それ故に未知に包まれとる、とな。神に近い能力を持つ者と、特別な羅針盤がない限り、その国への行き来は出来ないそうだ」 「へ〜っ。私、巫女じゃないかって言われてるんですけど、神様にお仕えしてるんでしょうか?」 「かも知れんのォ。カナリの高位の者かも知れんがの」 「そっかぁ・・・。西の果てには何があるんですか? 地図を見てると、西の方は普通に大陸が描かれてましたけど」 「西の大陸は、ここの大陸より文明が遅れているが、この辺にはない文明もあるようだのォ。その大陸より更に西の果てには、高度な文明を持った島国があると聞く。見たこともない技術が開発されとるようだ。余り良い噂は聞かんがな」 「え? 悪い国なんですか?」 「知能の高い人間や特殊能力を持つ者を、攫っていくと聞いたことがある。それらに開発させ、何かを企んどるらしいが、そこまでは分かっとらん」 「あ・・・もしかして・・・」 「そう、オマエさんの能力も狙われとる可能性がある。が自らに封印をかけてることや、その他諸々も、そう考えればつじつまが合うからの」 「成程〜」 「しっかし・・・、オマエはいつになったら酔っぱらうんかの〜?」 真面目な話をしつつも、自来也は、カナリへべれけだった。 「あ〜、私、まだ酔ったこと無いんです。どうやったら酔えますか? 身体が自然に中和して分解することを覚えちゃったから、酔い方が分からないんですよ」 「そ、そんなぁ〜〜〜〜」 桃色の世界、ぱふぱふを楽しみにしていた自来也は、もう限界、と潰れてしまったのだった。 ナルトが入院したので、自来也は手が空き、を誘って里巡りをしていた。 カナリ探検しているでも、まだ発掘していない場所に、自来也は連れ回す。 穴場のような、面白い商品を扱う店、便利なモノが揃っている店、などを教えて回り、次に甘味処や食事処を回った。 初めての場所や初めての味が目白押しで、は意気揚々と楽しんでいた。 意外な場所から里を見渡したり、は瞳を輝かせ、自来也はとデートが出来、お互いに満足し合っていた。 「ガマ仙人さん、記念に写真撮りましょ〜♪」 観光地専属カメラマンが誘うので、腕を組んでポーズを取った。 出来上がって台紙に貼られた写真を、大事そうに腰のポーチのイチャパラの間に挟む。 河原に遊びに行っている時に、いつも持って行って、分からない所を訊いていた為、自来也は喜び、全てにサインを入れてあげたのだった。 自来也にしてみれば、と出会えたことで、十二分に小説の取材が出来、一石二鳥だった。 そのお返しに、今日も自来也はに愛のレッスンを施す。 「今度はカカシと生活している時にでもまた教えてやるからのォ」 「沢山勉強になりましたv カカシせんせぇが戻ってきたら、実践してみますから、成果を聞いて下さいねv」 「それは願ってもないのォ」 協定を結んだ2人。 奇妙な師弟関係が、ここにあった。 END. 45678番、美影様のキリリクでした。 |