【誕生日】 が中忍に昇格して、数ヶ月経った。 中忍昇格と同時にはゲンマの執務の正式な後継者となった為、任務をこなしながら、ゲンマの指導を受け、学んでいた。 自分のような血なまぐさい任務に就かせるよりは、とは思っても、カカシはやはりそれは面白くなかった。 カカシと一緒の時間より、ゲンマと一緒の時間の方が絶対的に多いのだ。 指導と称してあの個室で何をされているやら、と気が気でなく、何とかしてとの時間を作ろう、自分を見てもらおう、とカカシは考えた。 「そう言えば・・・が木の葉に来てもうすぐ1年経つな・・・」 偶然の出会いと必然の出会い。 は、カカシとの出会いは運命だった、とは言ってくれているが、本当にそうだろうか、と、擦れ違いばかりの毎日に、途方に暮れる。 1年前、に会ったばかりの頃は、こんなにもを愛するようになるとは思わなかった。 10年前の思い人とが同一人物と分かってから、やはりオレ達の間には運命の赤い糸があるんだ、と思う。 でも、自分の思うようにならない毎日が、自信を無くす。 運命とやらも疑わしくなる。 「・・・愛してるよ・・・もっとオレを見てよ・・・」 リクエストしてが作ってくれた人形を抱き締めて、カカシはベッドの上で目を瞑る。 脳裏に浮かぶは、満面の笑顔のばかり。 抱き締めたい、愛したい。 夢の中で、何度蹂躙したか知れない。 「ゲンマ君と・・・もう・・・ってことはない・・・よな・・・」 が忍びになって、半年が経つ。 任務だ何だと、いつもかわされてばかりだ。 口の上手いゲンマがを上手く丸め込んで実はイイコトを、などと思ってしまう。 純粋なは、疑うことを知らずに、ゲンマの手の内に取り込まれているかも知れない。 気が気でなくて、ハッキリとにプロポーズしようかとも思う。 でも、もし拒まれたら、と思うと、尻込みする。 「明日・・・会いに行こう・・・そうだ、火の国のウォーターパークに行きたがっていたから、今度休みを合わせて行こうって言えばいいんだ」 よし、とカカシは人形を抱き締めたまま、眠った。 昼、カカシはゲンマの執務室に向かった。 コンコン、とノックをするが、返答はない。 「? また奥の書庫にいるのかな・・・」 ゲンマと火影以外には入れない、ゲンマの預かる重要機密の書庫。 後継者になったは入ることが出来、説明を受けている筈だ。 どうするかな、と壁にもたれ掛かって腕を組む。 暫くぼ〜っとしていると、誰かが近付いてきた。 「何やってんです? カカシ上忍」 千本を上下させながら、ゲンマがやってきた。 「アレ? ゲンマ君。どしたの」 「どしたって、飯食いに行ってたんですよ。今昼休みですから」 ゲンマは鍵を取り出して、執務室を開けた。 「あぁ、そっか。でもは? 一緒じゃないの?」 「なら、任務に行ってますよ。火の国の大名に機密文書を届ける任務を。夕方には戻るでしょう」 「そっか。じゃ、帰るかな・・・って、ねぇ、ゲンマ君」 室内に入っていくゲンマを廊下で見届けながら、カカシは声を掛けた。 「何です」 「あの・・・さ。いつもこの部屋でと2人っきり・・・なんでしょ?」 「ま、そうですね。仕事を教えているんですから、他の人間を交えていちゃ、出来ませんから」 入ってすぐの所で立ち止まったゲンマは、振り返って言い放つ。 「仕事と称して・・・よからぬコトしてないだろうね?」 じと、とカカシは見据えた。 「あぁ、それなら色々と・・・楽しませてもらってますよ。お勉強と称して、いかがわしいレッスンとかをね・・・」 ニヤ、とゲンマは不敵に笑う。 「な・・・っ」 「は従順で、可愛いですよ。オレの言うことは何でも聞いてくれるし、やってくれますから。昨日はこの部屋の鍵を開けたままで、そう、今立っている此処で・・・スリルありましたよ。がいつも以上に興奮して・・・」 「ななな・・・っ」 カカシはわなわなと震えた。 「っていうのは冗談ですよ。そういうコトをしてるんじゃないか、って疑っているんでしょう。生憎、真面目に仕事しかしてません。ご心配なく」 日々そういう妄想はしてるけど、と心の中でこっそり思いながら。 「もうっ、意地悪なんだから!」 ぷく、とカカシは膨れた。 「もアナタに会いたがっていましたから、夕暮れ時になったら門で出迎えれば、喜びますよ」 「珍しいね。オレとを会わせないようにしてるんじゃなかったの?」 「適度にアナタに会わせておけば、も満足するんでね。はオレの言うことは何でも聞きますから、しょっちゅう会わない方がいい、って言えば、そうなんだ、って思うようにさせてるんで」 しれっとして、机に向かった。 「な・・・っ、ずるいよ、ゲンマ君。自分は昼間仕事で一緒で、夜もお隣さんなんだもん。不公平だよ」 ゲンマ君のモットーは公平、でしょ、とカカシは文句する。 「男を甘やかす気はないんで。はオレよりアナタに会う方が嬉しいんですから、充分でしょうが」 椅子を軋ませて、鋭く見据えた。 「さ、仕事の邪魔です。帰って下さい。名前の通り、畑のカカシのように突っ立って待ってたらどうですか」 ゲンマはカカシを突き放し、書類に目を落とした。 カカシはまだゲンマに言いたいことは色々とあったが、仕方なく飲み込んで、その場を去った。 言われた通り、カカシは出入り口の門の脇で、突っ立って腕を組んでいた。 「全くもう・・・ゲンマ君ってば悪知恵働かせるのは昔から上手かったモンなぁ・・・ホントにに何もしてないのかなぁ・・・絶対、嘘ついてるよ。過去の経験からして、絶対しらばっくれてるんだ。も素直だから、言わないだろうし・・・はたけ君が教えてくれればいいのに・・・」 九官鳥に、あった出来事を話せ、と言っても、ゲンマの口寄せ忍鳥ではないので、会話として成り立たない。 何かいい手はないか、とカカシは考え込んだ。 「あ〜っ、カカシせんせぇだ〜っvv」 とてとて歩いていたが、カカシを見つけると駆けてきた。 「あ、、おかえ・・・」 「わ〜いv 久し振り〜っv」 ぴょ〜ん、とはカカシに飛びついた。 反動でカカシはよろける。 「っとと・・・」 「も〜、いつもいつも、何でどっしりしてないの? カカシせんせぇ、ちゃんと食べてる?」 「が勢いよすぎるんだって」 「でも〜、敵に攻撃されてもよろよろしてるの?」 「してないよ。それは別でしょ。それより、任務ご苦労様。思ったより早かったね」 「うん。カカシせんせぇに会えて嬉しいなv もしかして、私のこと待っててくれたの?」 「あぁ、夕方帰ってくるって聞いたから、に会いたいなって」 「えへ、嬉しいv ね〜、お茶しようよ。寄り道しないで帰ってきたから、喉乾いたしお腹空いたよ」 べったりと腕を組んで、2人は茶処に向かった。 「甘栗甘の栗ぜんざいもいいなぁ・・・でもお団子も食べたい・・・ん〜、どうしよ・・・」 「色々食べたら夕飯入らないでしょ」 結局、カカシの食べられる餡抜き団子もある茶店に入った。 だが、はアンコさながら、どっさりと団子を注文した。 「太るよ、」 「カカシせんせぇはもちょっとがっしりした方が良いよ!」 美味し〜、とはパクパク食べた。 「女のコっていくつになっても甘いモノ好きだねぇ」 別腹って言うし、とカカシは茶を含む。 「でも、紅せんせぇは嫌いだって言ってたよ。辛い物が好きだって」 アンコさん見てると吐き気するんだって、と茶で喉を潤す。 「ま〜、そういうのもいるけど・・・アンコとかもまた別で・・・アレは異常だから」 「来月、紅せんせぇお誕生日でしょ? お祝いにお料理作りたいんだけど、アンコさんは自分ならケーキって言ってたけど、紅せんせぇは何が良いかなぁ・・・」 「キムチ料理とかは?」 「成程。カカシせんせぇだったらどういうのが良い?」 「ん〜、が作ってくれる料理なら、何でも美味いしなぁ」 「あ〜ぁ、カカシせんせぇのお誕生日まで、まだ4ヶ月もあるよ〜。去年はお祝いするって言いながら国に帰っちゃったから、出来なかったしね〜。早く9月にならないかなぁ」 「ゲンマ君の時はお祝いしたの?」 「うん。楽しかったv」 「どんなことしたの? ゲンマ君は、覚悟しとけって言ってたけど、どんなとんでもないことしたの」 「え〜? 普通だと思うけど。ガマ仙人さんにお誕生日会のやり方教わって、その通りにしたんだけど」 それを聞いて、何となく予想が付いた。 「サクラちゃんのお誕生日の時はカカシせんせぇ居なかったもんね。まだ素顔見れてないってサクラちゃん膨れてたよ」 「オレの素顔なんてどうでもいいだろうに・・・」 「隠されてると気になるんだよ」 パクパク、と食べながら呟く。 「はオレに隠し事無い?」 これ幸い、と訊いてみる。 「? 無いよ。何で?」 「ゲンマ君の執務室で、何してるの?」 「何って、お仕事教わってるんだよ。機密だらけだから、言えないけど」 それは隠し事じゃないよね? とは茶を飲み干してお代わりした。 「仕事以外のこと、教わってない?」 「仕事以外? って?」 「その・・・仲良し・・・とか・・・」 に分かる言葉で、とカカシはを伺う。 「仲良しはカカシせんせぇとすることでしょ? ゲンマさんからは、不知火のお仕事と任務と独り暮らしの生活のことしか教わってないよ」 「そう、ならい・・・任務?」 「うん。任務の実技訓練」 「じ、実技って・・・っ!」 の就く任務は、諜報活動、潜入捜査。 つまり、色事の多い任務である。 「どど、どういう風に・・・」 「え? 口説き方とか、こう来たらこうする、とか、私まだ場数踏んでないから、経験豊富なゲンマさんから、もっと色んなシチュエーションで教えてもらってるの」 それにかこつけてを、とカカシは震える。 「そういうことはアケビに教わってよ! 担当上官でしょ!」 「ちゃんとアケビせんせぇからも教わってるよ。ゲンマさんは、夜寝る前に教えてくれるんだよ」 ベッドで、とこくこく茶を飲む。 「よ・・・っ」 カカシはわなわなした震えが止まらず、ゲンマの元に行って問いつめたい衝動を必死で堪えた。 「それより、早く9月になって欲しいよ〜。カカシせんせぇのお誕生日お祝いした〜い」 我に返ったカカシは、ふと気付く。 「そう言えば、は誕生日いつなの?」 「分かんない」 「分かんないって・・・何で? 記憶戻ってるんだから、分かるでしょ?」 「そうだけど・・・言ったでしょ、私、10歳くらいからしか覚えてないって。だから、いつ生まれたのか分かんないよ」 「でも、は神様だったでしょ? 聖誕祭とか無かったの?」 「ん〜・・・あったような気はするけど・・・今は神様じゃないから、今の私の誕生日じゃないよ」 「でもねぇ・・・じゃあ・・・あ、そうだ。が木の葉に来たのって、もうすぐで1年経つよね? その日をの誕生日にしようよ」 「あ、それならいい」 「確か、来週だよね。誕生パーティーしようよ」 パーティーという響きに、は満面の笑顔で、ぱぁっと瞳を輝かせた。 「わ〜い!!!」 相当な喜ばれように、カカシも嬉しくなる。 「でさ、2人っきりで夜まで・・・」 「いっぱい皆呼んでいい?! ぱ〜っとやろうよ!」 「え? 皆・・・?」 カカシは思惑が早々外れ、愕然とする。 「2人っきりで仲良ししようよ。まだ全然仲良し出来てないでしょ。もしたいでしょ? 気持ち良くなりたいでしょ?」 自分がなりたいから、したいから、とは言わず、が、と主張するあたりは、姑息だった。 「ん〜、仲良しよりも、大勢でワイワイの方がいいよ。カカシせんせぇとはこうやってデートできるだけで嬉しいし」 「仲良しはもっと嬉しくなれるんだよ! 任務や訓練と全然違うんだから! ね、だから・・・」 「皆にも訊いてくるね。楽しみだな〜♪」 はもはや聞いておらず、お茶を飲み干すと立ち上がり、ニッコリ微笑んで、レジで会計を済ませ、じゃあね、と飛び出していった。 「ってば〜〜〜っ!!!」 いつまで振り回され続けるのか、とカカシは肩を落とした。 は人生色々に向かっていた。 鼻歌交じりで、駆けていく。 「楽しみだな。中忍に昇格した時にもお祝いしてもらったけど、楽しかったし。今度はどうなるのかなぁ」 うふふ、とはご機嫌で人生色々に着いた。 「ゴメンクダサ〜イ・・・」 そ、と中を覗く。 「あら、。どうしたの?」 紅がに気が付き、顔を向けた。 「だ? どうした、カカシならいねぇぞ」 「あ、紅せんせぇとアスマせんせぇv あのね・・・」 はひょこひょこ入っていき、話した。 「そうか、が木の葉に来て1年か。随分昔から居るような感覚だったが、まだ1年か。誕生日ね・・・」 「来週ってことは、私の一週間前ね。一緒にやる?」 「パーティーは何度でもやりたいですv」 「カカシは何て言ってんだ?」 「2人っきりで仲良ししようって言ってるんですけど、私は大勢でワイワイの方がしたいから」 カカシとが、が忍びになってからまだ結ばれていないことは、2人ともカカシに問い質して知っていた。 故に、大勢でワイワイを望むに、カカシを気の毒に思うが、さてどうしたものか、と考えた。 「そうねぇ・・・じゃあ私と合同で真ん中の日あたりにでもやって、当日はカカシと過ごしなさい。自分ばかり楽しむより、カカシにも嬉しくなって欲しいでしょう?」 「仲良しするってコト? でも、ゲンマさんが、一人前になるまでは、仲良しは我慢しろって・・・」 やはり2人が結ばれずにいるのはゲンマが裏で糸を引いていたか、と納得する。 「、大勢でワイワイもいいけど、カカシと2人で過ごす時間も大切よ。仲良しはしなくてもいいけど、イチャイチャくらいしなさい」 周りの人間は、全員語に浸食されていた。 「でもゲンマさんが・・・」 「オマエ、ゲンマの言うことは何でも聞くんだな」 煙草を燻らせながら、アスマは息を吐く。 「だって、ゲンマさんは私のせんせぇだし・・・お仕事も任務も生活のことも、全部教えてくれてるから・・・」 「自分ではどうしたいと思うの? 何でもいいから」 「ん〜と、大体はゲンマさんに言われてる通りですけど」 「カカシともっと一緒にいたいと思わないの?」 「いたいですけど、そしたらべったりになっちゃって、自立じゃなくなるから。まだまだもっとシッカリしないと、ダメだなぁ、って自分でも思いますから、我慢です」 ホントにゲンマは上手く調教してる、と感心する他無かった。 「誕生日パーティーは紅との間の日に合同ってことで、メンツ集めてやるよ。当日はカカシと過ごしな」 「え〜、いいのかな・・・ゲンマさんに訊いてからじゃないと」 「、ゲンマはアナタの行動を束縛する権限はないのよ? 何でもかんでもゲンマの言いなりじゃなくて、自分の考え・意見も持ちなさい。それが自立ってものよ」 「ん〜・・・そうですよね・・・分かりました〜」 普段ゲンマはどうやってを丸め込んでいるのか、思わず興味津々になりそうだった。 ある意味、此処まで来れば洗脳と同じだ。 尋問部隊のイビキがゲンマに教えを請うているのが、分かる気がした。 「の知り合いはあらかた分かるから、適当に声掛けて、都合合わせるよ。2〜3日中に日を決める。酒酒屋でいいだろ?」 あそこなら大勢入るし、とアスマは壁のカレンダーを見た。 「ハイv お願いしま〜すv」 相当楽しみにしているようで、はご機嫌で帰っていった。 はアカデミーの特別上忍執務室を覗いた。 「スイマセ〜ン、ゲンマさんがいないみたいなんですけど〜、任務行っちゃいました?」 ゲンマの個室の鍵を貰っている為、中を覗いたが、ゲンマは居なかった。 アンコがお汁粉を啜りながら顔を上げた。 「5代目のトコに行ってるわよ」 「綱手様のトコ? そっか。あ! 私まだ報告書書いてない! 机貸して下さい!」 いけないいけない、とはアンコの隣の席を借りた。 「も個人任務が出来るようになったか〜。ちゃんと出来た?」 「ハイ。いっぱい任務して、ゆくゆくはカカシせんせぇと、って・・・無理なのかなぁ・・・」 報告書を書きながら、はしゅんとする。 「非常事態にでもならない限り、無理でしょ。はゲンマの後継者になったんだから、その方面のスペシャリストにならなきゃいけないんだもの、その経験を積まなきゃいけないんだから、我慢しなよ」 不知火の執務の後継者って、栄誉あることよ、とアンコは諭す。 「ん〜、頭では分かろうとしてるんですけど〜・・・」 「カカシもゲンマも5代目も、アンタを血にまみれた任務に就かせたくないのよ。仮にもアンタは神様だったんだから、殺戮は嫌でしょ?」 「そうですけど〜、殺さなくて済む方法はいっぱいあるし〜・・・」 「うだうだしない! 個人の我が儘が通用する世界じゃないのよ、忍びの世界は」 「は〜い・・・」 は口を尖らせて、報告書を書き終えた。 「そうだ、アンコさん。アスマせんせぇからもご連絡が来ると思いますけど、紅せんせぇのお誕生日と合同で、私のお誕生日も併せて、パーティーするんですv 是非いらして下さいv」 「へ〜、アンタ誕生日なの? いつ?」 「来週です。ホントの誕生日は分からないんですけど、私が木の葉に来て1年の日をお誕生日に、カカシせんせぇがして下さったんです。いっぱい呼ぶんで、楽しみですv」 「カカシはアンタと2人っきりがいいんじゃないのぉ?」 「でも私は大勢でワイワイしたくて〜。あ、でも、アスマせんせぇが、私のお誕生日の当日はカカシせんせぇと過ごせって言ってたんで、大丈夫ですv」 「ついにめくるめくイチャパラ達成かぁ。、自分ばっかり嬉しくならないで、カカシも嬉しくなるようにしなさいよ?」 「それって、やっぱり仲良しのことですか? でもゲンマさんは・・・って、あ、自分の意見は・・・えっと・・・ん〜・・・」 「ゲンマはどうするの? ゲンマだってと過ごしたいんじゃない?」 「え? ゲンマさんは、いつも一緒だから。でも、日頃のお礼とかはしたいなぁ、とは思ってますけど。この1年、お世話になりっぱなしだから、いい区切りですよね」 どうしようかな、とは考え込んだ。 アンコは、はカカシとゲンマどちらに重点を置いているのか、興味あった。 好きなのはカカシの方だと分かっている。 だが、ゲンマのことは頼れる兄として、何かにつけてはゲンマの言うことを聞き、カカシより優先している節がある。 「ねぇ、。アンタが橋の上にいて、左右の川でそれぞれカカシとゲンマが溺れていたとするでしょ、浮き輪は1つ、アンタならどうする?」 どっちに浮き輪を投げ、どっちを助けに行くのか、興味があった。 「え〜? 2人とも水の上に立てるから、溺れないですよ」 「それは考えないで。2人とも重傷を負ってて、チャクラが残り少ないとしたら、よ」 「ん〜〜〜・・・・・・」 は困ったように考え込んだ。 「そうだな〜・・・じゃあ、影分身で、両方に行って、医療術で治療しますv」 「どっちが本体?」 「え〜〜〜・・・」 再びは考え込む。 「ん〜と〜、本体は橋の上で助けを呼んでて、助けに行くのは影分身で。どっちかって選べないです」 この三角関係はが自覚しない限りこのままか、とアンコは息を吐く。 「でも、10年前・・・もう11年くらい前? その時はカカシを選んだんでしょ? 何で今は選べないの?」 あの時、重傷のカカシを担いで自分も重傷で里に戻ろうとして一緒にいたのは、ゲンマだ。 ゲンマにも言われた。 何故、あの時カカシの方を選んだのか、と。 2人とも重傷で、にとっては見ず知らずの人間だったのに。 “声”が聞こえてきたのが、カカシの方だった、とは答えた。 それがの言う、カカシとの出会いは“運命”だ、と。 でも、今は選べないと、は言う。 は困ったように、考え込んだ。 「2人とも大切だし・・・どっちかが居なくなるのも嫌だし・・・それってダメですか?」 「ダメって言うか・・・いずれは、どちらか選ぶことになるのよ? 任務と同じよ。選べない、判断を下せない、じゃ困るわ。そのあたりからシッカリしていてもらわないと、アンタがいくら出世しても、小隊長は努められないわ。ゲンマの後継者という話も、流れるわよ。自覚なさい」 「・・・はい・・・」 の欠点。 神だった故の、“万物を平等に愛せよ”が、記憶が戻る前はハッキリとカカシを選んでいたのに、今は選べない理由だった。 「ゆくゆくはゲンマの跡を継いでアタシら特別上忍のトップに立つのよ、アンタは。シッカリしてよ?」 カカシと任務がしたいという理由から忍びになったは、思いも寄らぬ責任の重さの展開に、困惑していた。 結局は神だった頃と、変わらないのだ。 逃れられない運命か、とはため息をつき、帰路に就いた。 簡単に夕食を済ませ、風呂に入り、思考を切り替えようと湯を被っても、何も変わらなかった。 先達て作ったゲンマ人形と、カカシ人形をそれぞれ小脇に抱え、ベッドの上に座り込む。 「どっちか・・・なんて・・・選べないよ・・・」 いつも両脇に人形を並べ、2人に見守られている気分で、幸せだった。 ずっと3人で一緒にいられればいい。 そう思っている。 でも、カカシはと2人っきりになりたいと言うし、ゲンマも、カカシがいるのは嫌なようだ。 何で3人はダメなんだろ、と、はカカシとゲンマの気持ちを理解できずに、悩んでいた。 3人でいると嬉しくて、楽しくて、忘れようとしていた。 それはダメだ、と、周りは言う。 「2人とも好きって・・・何でダメなのかな・・・」 カカシへの気持ちとゲンマへの気持ち、其処に違いがあることに気付いているのは、綱手と自来也くらいだった。 は気付いていない。 だが恐らく、ゲンマは分かっている。 それでいても諦められない為、素知らぬふりで、アピールし続けている。 カカシは分からないから、不安でいる。 がどちらかを選べないでいるのと同じく綱手もどちらかに肩入れできないでいる為、とやかくは言えないのだった。 「カ〜君なら・・・分かるのかな・・・」 遠くにいる弟。 シッカリとした自分の意見を持っている。 会いたいな、とは空を見上げた。 「どうした? 眉間にしわ寄ってるぞ」 可愛い顔が台無しだ、とゲンマが寝室にやってきた。 隣に腰掛け、何かあったか? と眉間をぐりぐり指で押した。 「ん〜、世界の真理を考えてて」 な、とゲンマはを抱き寄せ、胸の内に取り込んだ。 「でも・・・」 「オマエはオマエの思うように生き、笑っていればいい。それが真実だぜ」 ちゅ、と唇に触れる。 「・・・ホントに私は思う通りにしてて良いの? 周りの人が、良くないよって・・・」 ゲンマが愛撫してくるのに応えながら、目を伏せた。 「まがりなりにもオマエは神だったんだ。神が世の理だ。それなら、オマエが思うようにすることが一番だろ?」 抱き締めた身体を撫で回し、愛撫しながらゲンマは返す。 「でも、それじゃダメだってゲンマさんだって・・・」 「オマエの魅力は、伸び伸びと笑っているのが一番だ。沈んだ顔は似合わねぇ。思うようにしてればいいさ」 ゲンマは自分の人形を枕元に起き、カカシの方は一段上で背を向けて置き、を押し倒す。 「どっちか選ばなくても良いの?」 「今はな。自然と分かってくるまで待て。オレは気は長ぇからよ」 ちゅ・・・、と深く唇を塞ぐ。 啄んで、身体を撫で回す。 は拒むことなく、ゲンマに応えていた。 ゲンマは優しく口腔内を蹂躙する。 ゲンマに身を委ねていると身体の奥がほんわかとして難しいことを忘れられ考えずに済むので、は其処に逃げていた。 優しく扱われ、幸せだった。 ゲンマも、訓練と称するようにしたらが拒まなくなったのをいいことに、積極的に求愛した。 選べと言ったら、は困るだろうから、どっちつかずの方が都合良いと、最近は煩く問いつめないでいた。 適当に口先三寸で丸め込み、を思うように操っている。 がどちらか選ぶ時。 それが自分ではないと分かっているので、殊更“今”を大切にした。 くぅ、と寝入ったを見て、愛してるよ・・・、と小さく囁く。 そっと唇を塞ぎ、抱き締める。 に届くことのない気持ち。 それでもゲンマはを愛していた。 抱いたら壊れそうなこの関係、ゲンマは訓練と称しても最後まではせずにいた。 真実を知るのが、怖かった。 失いたくなかった。 きゅ、としがみついて寝てくれるだけで、幸せだと思うようにしていた。 の誕生日。 ウォーターパークの話をしたら、が目を輝かせて行きたいと言ったので、一日中イチャパラを望んでもにはかわされるのでもう懲りたので、の望むようにした方が、後で良い思いを出来るのでは、とカカシは出掛けることにした。 ルンルン気分では用意してきて、カカシと待ち合わせ、べったりとして門に向かった。 擦れ違いの多すぎる日々に、カカシは、と2人っきりになれるなら、いや会えるのなら、どんなことでも幸せだ、と思うようになっていた。 今日は2人っきり。 はカカシしか見ない。 それで充分だった。 「アレ? さんとカカシ先生じゃない。どうしたの? ツーマンセル任務?」 サクラといのとヒナタに門の前で鉢合わせした。 「あ〜! そうだ、任務斡旋所に行って、ツーマンセル任務下さいって言えば、カカシせんせぇと任務出来るんだ! そっちがいいな! そうしようよ!」 「え〜〜〜。遊ぼうよ。の誕生日なんだから・・・」 の思考回路は理解できない、とカカシはげんなりする。 「さん、誕生日なの? 遊ぼうって・・・もしかして、カカシ先生とウォーターパークに行くとか?」 「うん。でも任務・・・」 「それなら任務は諦めて、遊んだ方がいいって。私達も行くんだ。一緒に遊ぼうよ」 「え・・・キミタチも行くの・・・」 「あ、それなら行く! 大勢の方が楽しいよねv」 わ〜い、とは喜んだ。 カカシは愕然としたのは言うまでもない。 「じゃ〜、しゅっぱ〜つ!」 一同揃って、ウォーターパークに向かって歩き出した。 「サクラちゃんは来月の中忍試験出るの? 前回は修行を優先してたから出なかったでしょ」 「うん、大分レベル上がったし、師匠が出ろって仰ってるから。いのブタに先越されちゃったから、絶対中忍になるわよ!」 「みっともないトコ見せないように、せいぜい修行すんのね」 「うっさいわぁ!」 「ヒナタちゃんも出るでしょ?」 「う・・・うん・・・前回はダメだったから・・・今回こそはもっと頑張ろうと思って・・・」 「ふっふっふ。バカナルトが帰ってくる頃には、同期全員中忍以上ね! 地団駄踏ませちゃえ!」 内なるサクラが、黒い笑みを浮かべた。 ワイワイ楽しく喋りながら、カカシは蚊帳の外でイチャバイを読みながら、ため息をつきつつ、目的地に着いた。 「オイ、サクラ」 着替えに向かう達に、カカシはサクラを呼び止めて声を潜めた。 「なに〜?」 「あのね、オレ達のイチャイチャを壊さないでよ。気を利かせてくれよな」 「ふっふ〜ん。そのマスク取ってくれたら、考えても良いわよ?」 サクラは何処までも腹黒く、にやりと笑う。 「う・・・それは・・・」 「どうやってさんと水遊びする気でいるの? 普通に海パン一丁にならないの?」 「忍者が丸腰になれるか! オレは水際で・・・」 「それじゃさん楽しくないじゃない。さんに楽しんでもらう為に来たんでしょ? 此処は潔く・・・」 「サクラちゃ〜ん、早く着替えよ〜っ」 更衣室の前でが手を振っている。 「男らしく、ビシッとね!」 そう言い残し、サクラは駆けていった。 「もう・・・何でこう思うようにならないんだ・・・神様が意地悪してるのか・・・? って、神様って・・・か弟か・・・」 はぁ、とカカシは息を吐いて、更衣室には寄らずに水べりに向かった。 「アレ? カカシせんせぇは遊ばないの?」 着替えていないカカシを見て、は膨れた。 「オレは此処で見てるよ。敵襲に備えてるから、は皆と楽しんでおいで」 艶めかしいのきわどい水着姿に、カカシは喉を鳴らす。 「そぉ? いつでも来てねv」 きゃ〜っ、とは水に飛び込んだ。 「・・・幻滅」 捨て台詞を残し、サクラ達も続いた。 は、カカシと2人、より、“女同士でワイワイ”の方が優先順位が高くなるのは、の性格からして分かっていた。 が楽しんでくれるなら、とカカシは諦めた。 満足すれば、自分のお願いも聞くようになるだろう、と。 楽しんでいるの躍動する身体を見て下腹部の疼くカカシは、イチャバイを開きつつも、に見惚れていた。 は念願のウォータースライダーや流れるプールで、思う存分楽しんでいた。 輝くが、眩しかった。 「カカシせんせぇもおいでよっ」 喜色満面のがとてとてやってきて、腕を引っ張る。 「え・・・っ、おい・・・っ、ちょ・・・」 のたわわに揺れる豊かな胸が目に飛び込み、うっかり気を抜いた。 「「え〜いっ!!」」 したり顔のサクラといのが、カカシの背中をどつく。 当然、カカシは忍び装束のまま、水の中に落下した。 ヒナタがハラハラと見守っていた。 「あ〜っ、本が〜〜〜ッ!!」 「折角遊びに来たのに、本読んでちゃつまんないよ。何の為に来たか分からないでしょ?」 ぷく、とは膨れる。 「が楽しんでくれれば、オレはそれで・・・」 「え〜っ、私、カカシせんせぇと一緒に楽しくなりたい〜」 ぎゅう、とはカカシに抱きついた。 「え〜い、脱がせちゃえ!」 はカカシのベストの前をはだけさせ、マスクに手を掛けた。 サクラといのがゴクリと喉を鳴らして見守る。 「まま、待ってっ! 勘弁してくれ〜〜〜ッ;」 カカシは慌てて逃げ、更衣室に飛び込んだ。 暫く待っても、戻ってくる気配はない。 「つまんないの」 はぷっくり膨れて肩まで浸かった。 「・・・ねぇ、さん。あんなカカシ先生の、何処が好きなの? 男らしくないし、情けないし、ゲンマさんの方がよっぽどいい男じゃない」 サクラが毒を吐いて尋ねた。 「ん〜、確かに今のは男らしくないな〜、ってつまんないけど、一緒にいると心がほんわかして、ドキドキして、幸せ〜、って思うんだ。カカシせんせぇにぎゅってされると嬉しくなるし。コイハモウモクなんだよ」 何やら怪しいカタカナが、とサクラは息を吐く。 「それって本人が言っちゃおかしくない?」 いのが突っ込む。 「あんなんでも好きな人には好きだってコトね」 それより休憩しようよ、陽も傾いてきてるし、とサクラは皆を促した。 遅いお昼ご飯を前にして、トロピカルジュースをそれぞれ手に持った。 「さん、24歳オメデト〜v」 「わ〜いv ありがと〜v」 嬉しそうにジュースを飲み、お昼を食べる。 「イルカ先生と同い年には見えないわよね〜。私達よりちょっと上くらいにしか見えないモン。そのナイスバディは羨ましいけど・・・」 周りの男達の視線を集め、声を掛けようかどうしようか、と群がってくる。 「ねぇ・・・」 勇気を出した男の背後に、冷たい空気が漂う。 殺しかねない勢いのカカシが立っていた。 途端に皆逃げて散っていく。 「もう、折角いい女4人でいたのに、カッコイイ人だっていたのに、邪魔しないでよね、カカシ先生!」 「悪い虫たちには食べさせません〜」 「カカシせんせぇ、着替えてきたんじゃないの? 遊ぼうよ〜」 カカシは忍び装束のままだった。 「だからオレは敵襲に備えて・・・」 「つまんな〜い!」 は口を尖らせて、抗議した。 「あ〜ぁ、折角のさんの誕生日なのに、カワイソ〜」 「じゃ、じゃあ、ウチに帰って、部屋で仲良ししようよ。オレはその方が嬉しいし楽しいし・・・」 「う〜わ、最低な大人・・・」 「私は此処で遊びたいの〜! じゃなかったら任務したい〜!」 「さん、こんな人ほっとこ」 「あ〜でも、アンコさんが、私だけが嬉しくなるんじゃなくて、カカシせんせぇも嬉しくなるようにしろって・・・」 「だからって真っ昼間っから部屋にしけ込むってのはね〜」 「相変わらずませてんね、キミタチは・・・でも、そろそろ帰り支度しないと、里に戻る頃は暗くなってるよ。充分楽しんだでしょ」 「それもそっかぁ。じゃ、着替えよ。帰ったらカカシ先生夕飯奢ってv」 「ヤだよ。オレ達はまだまだこれから楽しむんだから・・・」 ホラホラ着替えて、とシッシッと手を払う。 「まだえっちできてないってホント?」 いのがズバッと訊いた。 「ぶっ。ハッキリ言うね・・・何で知ってるの」 頬を染め、頭を掻いた。 「アスマ先生が言ってたからぁ。中忍試験の本戦で審判やってた人と三角関係なんでしょ?」 あの人はかっこいいわよね、と見据えた。 「子供には関係ないよ」 外で待ってるぞ、とカカシは目を泳がせて逃げた。 帰る道中、深く追求されてもはぐらかし続け、答えようとするの口を手で塞ぎ、抱え込むようにして途中でどろんと消えた。 サクラ達より一足里に戻ると、カカシはの肩を抱いたまま、自宅へと向かった。 団子屋に目を奪われているを抱き上げると、屋根の上を駆け、部屋の前に降り立った。 とっぷりと陽は暮れ、白光の月が空に見えた。 「カカシせんせぇのお家にくるの久し振り〜」 寝室に入ると、ベッドに人形が横たわっていた。 「あ、ちゃん人形v 何かくたびれてきてるね。ちゃんと大事にしてくれてるの?」 自分の人形を手に取って、膨れてカカシを振り返った。 「ちゃんと可愛がってるからそうなっちゃったんだよ。でも変なコトには使ってないから、ね」 カカシは額当てと手甲を外し、ベストを脱いだ。 「変なコトって?」 「いや・・・まぁ・・・」 「アレ? この衣装ケース、使ってるの?」 と住んでいた時、が使っていたケースがベッドの足下に置いてある。 「あ、いや、のお泊まりセットって言うか、全部持って出なかったでしょ? それがそのままあるんだよ」 「あ、ホントだ。あ、じゃあお風呂入りたいな。ちゃんと温まって洗って、乾かしたい」 この着替え使うね、と下着を取り出す。 「お湯張ってくる〜」 は慣れた風に、浴室に向かった。 思わず、共に暮らしていた時が思い出される。 今もそのまま一緒にいる気分になった。 戻ってくるとまたベッドに腰掛け、人形を動かしていた。 「・・・」 カカシはもう抑えが効かなくなり、を抱き締めた。 口布を下げ、唇を塞ぐ。 溜め込んだ気持ちを、爆発させるようににぶつけた。 「ん・・・っ」 啄むカカシに、柔軟には応えた。 挟まれている人形を脇に置き、カカシの背中に手を回す。 首筋に顔を埋めて愛撫するカカシに、はきゅう、としがみついた。 再び口づけし、口腔内を蹂躙する。 はとても甘美で、カカシは溺れていった。 「・・・それ脱いで・・・」 未だにカカシはの忍び装束を脱がせないでいた。 「ん・・・あ、お風呂溜まったよね。お風呂入ってくるっ」 はするりと抜け出し、浴室に向かった。 「待って、オレも入るって。一緒に入ろうよ」 「ダメ〜。子供じゃないから、お風呂は1人で入ることにしてるの〜」 「何でだよ〜。前は一緒に入ってっていつも言ってたのに〜」 「すぐ上がるから〜」 ぱたん、とドアが閉じられる。 「・・・ってことは、ゲンマ君とも一緒に入ってないってコトだよね? ならいっか・・・」 ふと、が下着しか持っていかなかったことに気付く。 「久し振りに私服姿見たいな・・・」 寝室にキャミソールを取りに行き、戻ってきた。 「〜、着替え持ってき・・・」 「お待たせ〜っ」 ほっこりしたが忍び装束をがっちりまとって出てきた。 「えっ、もう上がったの?!」 「ちゃんと早風呂の訓練もしてるモン。いつもはゆっくり入ってるんだけど、カカシせんせぇ待たせたら悪いから」 髪乾かそ〜、とドライヤーを持って寝室に向かった。 カカシはぐったりしながら風呂に入った。 今夜こそ決めよう、と決意して上がる。 寝室のドアを開けたら、はベッドで寝息を立てていた。 「そ、そんなぁ〜〜〜;」 の肩を掴んで揺すった。 「! 起きてってばっ」 「ん・・・ふにゅ・・・」 むにむに、とは目を擦る。 「うにゅ・・・眠い・・・」 「、泊まってくでしょ? ちゃんと起きて、仲良ししようよ・・・」 「あ! 外泊はしないって決めてるから帰る!」 ぱっちりと目を開け、起き上がった。 「たまにはいいでしょ? まだ時間早いよ。仲良し・・・」 「カカシせんせぇ、今日はちょっとつまんなかったけど、一緒にお出掛けできて嬉しかったv 私、カカシせんせぇと居る時が一番嬉しいし楽しいよv 今度は任務が一緒に出来るといいな、出来ればツーマンセルで」 ニッコリとは微笑んだ。 「ホ、ホントに・・・? ゲンマ君より・・・?」 「ゲンマさんといる時も良いけど、やっぱりカカシせんせぇが一番だって今日思ったよ。明後日のパーティー楽しみにしてるねv」 じゃあ帰るね、とは玄関に向かった。 「待って、仲良しは?!」 嬉しいやら何というか、カカシは複雑な思いだった。 「オレのことも嬉しくさせてくれるんじゃないの?!」 「カカシせんせぇ、大好きv」 きゅう、とは抱きついた。 「どぉ?」 「え? どうって?」 「私はこれで嬉しくなるよv」 「オ、オレはもっと・・・っ」 「早く帰らないと〜。夜はゲンマさんがお祝いしてくれるんだ。この1年お世話になりっぱなしだから、お礼もしなきゃだしね。じゃ、パーティーでね〜!」 「ゲ、ゲンマ君?! 待って、一体何をす・・・っ!」 は微笑みを残し、消えた。 カカシが呆然と立ち尽くしたのは、言うまでもない。 自分が一番だと言ってくれたことは嬉しかったが、何とも釈然としないカカシだった。 本当の幸せがカカシの元へやってくるのは、まだまだ遠そうだった。 END. 拾蔓打記念夢でした。 2005.6.9. |