【出会いはいつも運命の気まぐれ】 第一章 カカシは面白くなくて、ぶすくれていた。 其処は酒酒屋、ゲソをクミクミと噛みながら、口を尖らせている。 「ちょっと! いい加減にその仏頂面やめてよね。お酒が不味くなるわ」 「だってさ〜・・・」 「だってじゃねぇよ。駄々っ子か、テメェは」 共に酒を酌み交わしていた紅とアスマは、うんざりしていた。 「だって、だってさ! もう3日もに会ってないんだよ?!」 バン、とカカシはテーブルを叩く。 「3日くれ〜何だよ。ついこの間まで、が戻ってくるかも分からずにいた3ヶ月、しっかり任務やってたじゃねぇか。それがなんだ、このていたらくは」 「あの頃と今じゃ事情が違うでしょ?! はオレのトコに戻ってきてくれて、ラブラブハッピーに暮らせると・・・それがさ〜〜〜ッ!」 「しょうがないじゃない。は忍びになったんだから、一生懸命任務してるんでしょ? 少しでも早く、アンタと任務出来るように、って、頑張ってるんでしょ? 我慢しなさいよ、カカシ」 「そうだそうだ。帰ってくれば、真っ先にオマエんトコに戻るんだろ? 一緒に暮らしてるんだからよ。共稼ぎくれ〜、当たり前だっつの。擦れ違うくれ〜、普通あるだろうが」 「戻ってこないよ」 「あ?」 「どういうこと? 一緒に暮らしてるのに? 何で?」 「・・・暮らしてないモン」 「はぁ?」 「ってば・・・ってば、オレん家、出てっちゃったんだよ!」 わぁん、とカカシは突っ伏した。 「何ソレ。愛想尽かされたの?」 「記憶が戻って、オマエへの愛情もなくなったって事か?」 「ちっがうよ!」 ガバッと上体を起こし、叫ぶ。 そう、は木の葉に戻ってきて、カカシと蜜月する前に、帰ってきた足でカカシの家に置いていた荷物をまとめ、出て行ったのだった。 故に、カカシはまだとイチャイチャの夢が達成されていないのだ。 「じゃあどうして?」 「・・・自立したいんだって。独り暮らしして、生活力を付けたい、って。だから、引っ越したんだよ」 「でも近所なんでしょ? いつでも会える距離なら、いいじゃない」 「そりゃね、オレも、自立したい、大人になりたい、って言われたら、納得しない訳にはいかないじゃない。我が儘言ったらカッコ悪いじゃない。でもさ、でもさ、、オレと一緒にいたいから、って、神様としての自分を捨てて、木の葉に戻ってきたのに、よりによって何で引っ越し先がゲンマ君のお隣さんなんだよ〜〜〜!!!」 ゲンマ君家は近所じゃないよ〜、とカカシは叫んで酒をあおった。 「何だ、ゲンマに獲られるかも、って焼き餅焼いてるのね」 「しょうがねぇじゃんか。ゲンマは、の後見人なんだろ? も、兄貴みてぇに慕ってるし、兄妹が一緒に暮らすくれ〜、我慢しろよ」 「やめてくれ! ただのお隣さんはもうこの際我慢する! でも、どっちかに入り浸りになったら嫌だ! どうせなら、2つ空いてるアパートに一緒に引っ越したかったよ! 〜、ホントにオレのこと好きなのか〜〜〜???」 段々と絡み酒になってきて、紅とアスマは辟易してきた。 「アンタの傍にいたら、甘えちゃうからでしょ? も〜いい加減にして」 「でも、ゲンマ君の傍にいたら、絶対甘えちゃうよ」 オレに甘えて欲しかった、と愚痴る。 「ちょいと訊くがな。カカシ、オメ〜、戻ってきてからとはヤッたのか?」 「アスマ! 言葉選んでよ! 下品なんだから」 「・・・してないよ。が帰ってきた日、オレスッゴイ嬉しくって、舞い上がるほど幸せだったのに、ゲンマ君に会ったら、ってば、ぴょ〜んってゲンマ君の方行っちゃって、その足でゲンマ君家にご飯食べに行って、そこで隣が空いてるって話聞いて、二の句も継がずに、じゃあ引っ越す! って、オレん家に行って、荷物まとめて出てっちゃったんだよ。次の日からすぐ任務に行ってさ、オレも任務だったし、イチャイチャどころか、ゆっくり話す時間もないんだよ。ちょっと顔見れればいい方で・・・」 ブツブツ、とカカシはグラスの水滴で濡れたテーブルに、のの字を書く。 「の任務って、どういうの? 担当上忍は誰?」 「アケビだよ。桃栗アケビ。そう言えば、どういう任務か分かるだろ?」 「潜入捜査や諜報活動ね。諜報部隊ってことは、ゲンマの管轄じゃない」 「確かアケビの部隊は、この間の戦争で1人殉死したから、スリーマンセルでやってたんだよな。残る2人は中忍だろ? ついて行けてんのか?」 下忍なりたてなのに、Bランクじゃねぇか、とアスマは煙草を燻らせる。 「は、忍びとしての能力なら、もう上忍レベルだよ。医療術も突出してるしね。即戦力だよ」 記憶も取り戻したから、力の使い方も分かってるし、とお新香を摘む。 「へぇ。またゆっくり話してみたいわね。アケビに会ったら誘おうかしら」 女だけの飲み会も良いわね、と紅は酒を含んだ。 「オレとの貴重な時間を取らないでよね!」 ぷく、と膨れて紅を見据えた。 「今は色恋より、仲間との交流を尊重すべきだぜ? 力があろうと、はまだ下忍なりたてだ。色んな経験させてやるべきだ。が浮気なんかする訳ねぇんだから、恋人として見るより、忍び同士として見てやった方が、は喜ぶんじゃねぇか」 「そうよね。の夢は、カカシと結婚じゃなくて、一緒に任務、だもんね。忍び扱いしてあげれば、喜ぶわよ。って、そういうコでしょ?」 「そ、そうだけど・・・」 「あ〜もう、その話題から離れましょ! お互いの部下の成長具合の話でもしましょ」 「に会いたい・・・」 「写真でも抱き締めてなさい!」 執務に時間がかかってすっかり帰りが遅くなってしまったゲンマは、宵闇の中、屋根の上を駆けていた。 行く先の方に、見知った影があった。 「アレ、か」 「あ〜、ゲンマさんだ〜っv ゲンマさ〜んっvv」 はゲンマを見つけ、嬉しそうに駆けてきて、ぴょ〜ん、と飛びついた。 「ただいま〜っv」 「ったく・・・あのな、オレの姿見付けりゃ、所構わず時も構わず、ぴょんぴょんぴょんぴょん、バッタみてぇに飛びつくんじゃねぇよ。オレは宿り木じゃねぇぞ」 下は民家だ、静かにしろ、とゲンマはを窘める。 「む〜。私バッタじゃなぁい〜!」 「バッタだろうが。オマエの忍び装束は、色からして、バッタにしか見えねぇよ」 「ゲンマさんでしょ〜? この忍び装束見立てたのはぁ〜」 「あ〜失敗だったな〜」 「も〜、気に入ってるのにぃ」 「バッタ、任務ご苦労さん。腹減ってるだろ? どっかに食いに行くか? ウチ帰って作るか?」 くっついているをベリッと引き剥がし、ちょん、と立たせる。 「ん〜、もう遅いし、お買い物しないと材料無いんだよね。お店閉まっちゃってるしな〜・・・」 「じゃ、食いに行こう。オレん家も何もねぇから。何処がいい?」 「酒酒屋〜!」 中華食べた〜い、とは叫んだ。 「了解。じゃ、行こう」 方向を変え、2人は酒酒屋に向かった。 「席空いてるかな〜?」 酒酒屋の暖簾を潜り、はゲンマにべったりしがみついて、きょろきょろと店内を見渡す。 「アレ? ゲンマとじゃん。お〜い!」 1人でカウンター席で食事していたライドウが、2人を見つけて手を振った。 「何だ、ライドウ。オマエ1人か? わびしいな」 「ライドウさんだ〜v コンバンワv」 つかつかと歩み寄り、隣が空いているのを見て、ゲンマは吐き捨てる。 「煩ぇな。オマエは執務が終わってなかったし、他の奴らはとっくに帰ってたから、しょうがなかったんだよ」 春巻きを頬張りながら、眉を寄せた。 「席2つ空いてるねv ライドウさん、隣いい?」 「おぅ」 ライドウの隣にゲンマが座り、その隣にが座った。 「・・・どっちかっつ〜と・・・普通を真ん中にして挟まねぇか?」 オレの隣の方がいい、とライドウは口を尖らせる。 「ホレ、ライドウはオマエの酌をご所望だと」 眉を寄せながら、替われ、とゲンマは席を立つ。 「ハ〜イv ライドウさん、どんどん呑んで下さいねv」 言われた通り、はライドウに酌をした。 「サンキュ〜。そういや、オマエ最近、カカシに会ってねぇのか?」 クピ、と呑みながら、ライドウは尋ねる。 「んと〜、3日前にちょこっと会いましたv 任務で里を離れてたんで、3日ぶりに戻ってきました」 メニューを見て注文しながら、は答えた。 「マメに会ってねぇのか?」 「ん〜、任務で擦れ違っちゃって〜、ちょぴっとしか会えないです。でも、任務一杯頑張って、早くカカシせんせぇと一緒に任務出来るようになりたいしv 頑張りますv」 ニコ、と微笑んで拳を握った。 「会えなくていいのかよ」 「寂しいですけど〜、私も忍びだから、自分の好きなことばっかりは我が儘だから、我慢してます」 「けっ、前はカカシ上忍に会えなくてピーピー泣いてた癖に、いっぱしぶんな」 お通しを摘みながら、ゲンマは毒づく。 「む〜。私もう子供じゃないモン! 忍びになったから、泣かないの!」 ぷく、と膨れて、は運ばれてきた酒のグラスを手に取った。 ゲンマの酒も来て、3人で乾杯をした。 「の心がけは立派だけど、カカシは見習うべきだな」 「ついさっきまでな、カカシのヤツ、此処で管巻いてたんだよ」 「え、来てたの? もう帰っちゃったの? なぁんだぁ、会いたかったよぉ〜。もっと早く来たかったぁ」 きょろきょろ、と辺りを見渡して、残念そうに口を尖らせる。 「また絡み酒か?」 相変わらずだな、とゲンマは息を吐く。 「あぁ。もう、大変だったぜ。離れて見てたけど、相手してたアスマや紅が可哀相だったぜ。に会えなくて、相当溜め込んでるみてぇだ」 「そうらしいな」 オレはわざと会わねぇように避けてるけど、とに聞こえないように呟く。 「カカシせんせぇって、お酒弱いもんね。潰れちゃったの?」 「・・・カカシはゲンマの次に強いんだが・・・」 「コイツがオレと同じで酔わねぇからな。また悪酔いしてたのか?」 「あぁ、もう、ぐちゃぐちゃだよ。アイツ、女に惚れるとダメになるタイプだとは思わなかったぜ」 「っつ〜か、それだけ平和になってきてるんだろ。イザとなりゃ、ちゃんとすると思うぜ」 「私、カカシせんせぇに会いた〜いv お家に居るんでしょ? 行ってくる〜!」 そう言っては立ち上がった。 「コラ待て。飯食っていけ。もうすぐ出てくるんだから、オマエの分まで食いきれねぇぞ」 「ちぇ〜」 ぷく、と膨れては座り直した。 「それからな、。オマエ自立したいんだろ? 今カカシ上忍に会ったら、夜も遅いし、帰りたくなくなるだろ? 甘えてもいいのか?」 「あ、そっか。会っちゃったら、自立にならないよね。しょうがない、我慢しよ〜」 足をプラプラさせながら、酒をこくこく呑む。 「けっ、口先三寸、上手く丸め込んでやがるな? ゲンマ」 ニヤニヤ、とライドウはゲンマを見遣った。 「何のことだかな」 しれっと、ゲンマは酒をあおる。 「あ、出てきた〜v お腹空いたよ〜、いただきま〜す!」 運ばれてきた料理を、次から次へと、パクパク食べた。 「美味し〜ねv」 「よく食うな。太るぞ」 胸が、とゲンマはぼそりと吐き捨てる。 「ヘーキだモン! ちゃんと体内で分解して、余分な脂肪は燃焼させてるの。医療忍者を舐めちゃダメ!」 「ソース頬に付いてるぞ。行儀悪ィな。ちゃんと食え」 ぺろ、とゲンマはの頬を舐める。 「ゲンマってば、を舐めちゃダメ!」 「ライドウ、怪しいの真似すんな」 たらふく食べて、呑んで、ご機嫌ではゲンマと帰った。 2人の住むアパートまで来て、互いにそれぞれ鍵を取り出した。 「じゃ〜ゲンマさん、オヤスミv」 「あぁ」 玄関に入って顔だけ覗かせて手を振るの元に、ゲンマはつかつかと寄っていく。 「?」 どしたの、とはゲンマを見上げた。 ゲンマはくわえていた千本を抜き取って、腰を屈め、ちゅ、と軽くの唇に触れた。 「オヤスミ、」 千本をくわえ直し、ゲンマは踵を返して隣の自分の部屋のドアを開けた。 「うん、じゃ〜ねv」 ゲンマの思惑で、上手く調教されているようだった。 風呂上がりに水分補給をしたは、ごろん、とベッドに横になった。 枕元にいつもいるカカシ人形を抱き締めて、思慮に耽る。 「カカシせんせぇに会いたいな・・・今度いつ会えるんだろ・・・やっぱり寂しいよ・・・」 枕元の写真立ての、カカシとのツーショット写真を手に取って見つめる。 「明日、任務の前に人生色々行ってみよ。ちょこっとだけでも顔見たい」 写真立てを元に戻し、目覚まし時計を見遣る。 「わ〜、もうこんな時間だ。早く寝ないと起きられないよ。自立するって大変だなぁ」 立ち上がって電気を消すと、カカシ人形を抱き締めたまま、ベッドに潜り込んだ。 「カカシせんせぇの夢見れますようにv オヤスミ〜・・・」 くぅ、と直ぐさま寝息を立てる。 隣のゲンマは、窓を開けて月を見上げながら、酒を食らっていた。 思慮に耽る姿は大変様になっていたが、考えていたのは、どうすればをカカシに会わせないようにして自分に振り向かせられるか、だった。 可能性が低いのは分かっている。 それでも、ゲンマはを愛していた。 妹としてではなく、女として。 『あの時・・・何でアイツはオレじゃなくて・・・』 いつも思う。 『それが運命だってのか・・・?』 に訊いてみたい。 だが、答えを聞くのが怖かった。 翌日、任務斡旋所に行って任務を受けたアケビ班は、数日かかる諜報任務の為、荷造りに一旦解散した。 はリュックを背負って、人生色々のドアを潜った。 「ゴメンクダサ〜イ・・・」 きょろきょろ、と室内を覗く。 「あの〜、カカシせんせぇは居ませんか?」 斡旋事務員に尋ね、見知った忍びに頭を下げた。 「はたけ上忍ですか? つい今し方、任務を受けて出て行かれましたよ」 10分くらい前ですね、と時計を見て答える。 「え〜っ、入れ違い〜?! そんなぁ。ちょっとでも会いたかったのに〜」 「出入り口の門の所で、会えるかも知れませんよ。丁度荷造りして、出掛ける所でしょうから」 「ホントですか?! じゃあ急いで行こっと! 有り難う御座いました〜!」 パッと顔を輝かせ、は人生色々を飛び出していった。 駆け足で門の所まで来て、カカシがいないか、きょろきょろ見渡す。 「まだかなぁ。もう行っちゃったのかな・・・」 くん、とカカシの匂いがして、アンテナを張り巡らせた。 ゆったりと歩いてくるカカシが目に入る。 「あっ、カカシせんせぇだっv カカシせんせぇ〜っ!!」 ぴょんぴょん跳びはね、手を振る。 「え? ・・・? どうし・・・」 「わ〜いvv」 勢いよく駆けていき、ぴょ〜ん、とアタックをかました。 カカシはよろけつつも、しっかりとを抱き締めた。 「カカシせんせぇ、久し振りだねv 会いたかったv」 ニコ〜ッ、と、極上の笑みでカカシを見上げる。 「オ、オレも会いたかったよ。もこれから任務?」 余りの可愛らしさに、往来を忘れてキスしたくなる。 「うん。さっきカカシせんせぇの顔ちょっと見てから行こうと思って人生色々に行ったら、入れ違いで任務に行ったって言われて、会えないかと思ったよ〜。会えて良かったv」 ん、とは目を瞑って顎を上げた。 「え・・・っ」 紅と美人くの一の1・2を争う、アケビだった。 ストレートの黒髪を結い上げて垂らした姿が、色っぽい。 「え〜、アケビせんせぇ、行ってきますのチューくらいいいでしょ?」 「ダメよ。任務に行くのに、他の男の匂いさせちゃ意味無いでしょ。我慢なさい」 ホラ離れて、とベリッと引き剥がす。 「え〜〜〜〜」 「あ、あの、任務ってどういう・・・」 それはつまり・・・と心がザワザワする。 「そんなの答えると思ってるの? カカシ」 「ゴ、ゴメン」 の担当上司がゲンマの管轄の諜報部隊の特別上忍のアケビだと知って、そういう任務なのだと言うことは分かっている。 能力的に、にも向いていると思う。 5代目の采配も頷ける。 だが、いくら任務とはいえ、いつもなら私情を挟むことのないカカシだったが、自分の愛しいがそういう任務に就くのは、面白くなかった。 「ま、アンタの気持ちも分からないでもないけどね、カカシ。でも、戦場を駆け回って、屍の上を乗り越えながら、返り血浴びながら斬り殺しまくるアンタのような任務やらせるのと、どっちがいい訳?」 「う・・・」 「揃ったわね。行くわよ」 「アケビ! どれくらいかかる?」 仲間待ちのカカシは、門を出ようとするアケビ班を呼び止めた。 「さぁね。数日から、ま、一週間くらいね、せいぜい」 相手次第だから、とアケビは答える。 「じゃ〜ね、カカシせんせぇv 帰ってきたら、一緒に呑みに行こ?」 「あ、うん」 行ってきま〜す、とはにこやかに出掛けていった。 「・・・諜報任務に行くようには見えないよな・・・」 がアケビ班に加わって任務を始めてから、諜報活動、潜入捜査で、かなりのいい成果を上げていると聞いている。 5代目からも、は逸材だ、と言われた。 天使のような、穢れを知らないが、上手く立ち回っているというのが、俄には信じがたかった。 諜報部隊は、騙し合いの世界なのだから。 「純粋無垢だからこそ・・・それを上手く利用してるんだろうな・・・」 が狡猾だったら、カカシはこんなにも惚れ込んではいないだろう。 天然記念物のままでいてくれ、と願いながら、カカシは仲間と共に任務に向かった。 一週間後、任務を終えて報告書を提出に来たカカシは、先に帰ってきていたアスマにばったり会い、共に人生色々に向かった。 中に入ると、紅がアンコと立ち話をしていた。 「よっ、欲求不満君♪ 悶々溜め込んでるか〜い? 不発弾、サッサと発射しちゃいなさい」 「ア〜ンコ! アスマみたいなこと言わないの」 「もう、ウルサイよ」 所在なげにカカシは目を泳がせ、長椅子に腰掛けてイチャバイを開く。 「・・・ねぇ、アケビは帰ってきてる?」 「遠回りに言わなくて良いわよ。は帰ってる? って聞きたいんでしょ」 バツが悪そうに、あさってを向く。 「まだ戻ってきてないみたいよ? 5代目から直接受けたAランクに近い難易度の高い任務みたいだから、手間取っているんでしょ」 「それよりさ、今夜暇でしょ? 皆で集まって呑もうよ」 ね、ね、とアンコはカカシとアスマを交互に見遣る。 「別に構わんが・・・カカシの愚痴は聞きたくねぇぞ」 「あっ、それね、愚痴ったら一気するのどぉ? それか、飲み代全部持ち!」 「え〜〜〜」 もううんざりよ、と紅はきつく見据える。 「ま、いいわ。酒酒屋でいいでしょ? アンコも大丈夫なの?」 「あ〜うん、言い出しっぺで何だけど、まだちょっと仕事残ってるんだ。ぱっぱとやっつけて、すぐ行くわよ」 じゃ、また後でね、とアンコは出て行った。 入れ違うように、小鳥が一羽舞い込んできた。 「アレ? ゲンマ君の忍鳥だ。どしたんだ?」 ゲンマ君も任務に出てるの? とカカシは受付に飛んでいった小鳥を見ながら呟いた。 「え? が何? アレはゲンマ君のトコの鳥でしょ?」 「アレ? オマエ知らなかったっけ? な、ゲンマの忍鳥と口寄せ契約してるんだよ」 「鳥と契約してるのは知ってるよ。オレの忍犬にして欲しかったってのに。ゲンマ君のとは別じゃないの?」 「代々不知火家に伝わる巻物に血判押してあるぜ。正真正銘、はゲンマの鳥と契約してる」 「それくらいいいじゃない。アンタの忍犬じゃ、任務が重なったら、不便でしょ。ゲンマの鳥なら、数も多いし、任務が重なっても困らないでしょ。焼き餅焼かないの」 「でも〜〜〜」 「ハイ、愚痴1回。駆け付け3杯ね。今日はカカシのおごりよ、目一杯呑みましょ」 「おぅ、そうだな」 カカシ、アスマ、紅は先に酒酒屋に来て、始めていた。 6人収容の座敷席で、カカシの向かいにアスマと紅が座った。 程よく出来上がってきた頃、アンコがやってくる。 「やっほ〜、お待たせ♪ 遅くなってゴメ〜ン」 「お疲れ。さぁ、座って」 「お客様をお連れしたわよ〜。じゃ〜ん!」 アンコの後ろに、が立っていた。 「!」 呑んでいた酒を喉を鳴らして飲み込み、カカシは叫んだ。 「ただいま〜っv」 は靴を脱いで、ぴょ〜ん、とカカシに抱きつく。 「イキナリ当てつけてくれるね、オイ。ホレ、酒頼め」 「良かったじゃない、カカシ」 「う、うん・・・」 カカシは照れて、鼓動を逸らせながら酒をあおった。 「行きがけに、ゲンマも誘ったんだけどさ〜、まだ仕事が終わってないとかで、断られちゃったのよね。ゲンマにも訊きたいことあったのにさ」 「っつ〜か、わざとカカシに会わねぇように避けてるんじゃねぇか?」 「でしょうね〜」 「だ〜か〜ら、避けてんだろうが」 「え〜、やましいこと無いなら、堂々とする筈でしょ? やっぱりやましいんだ・・・」 じと、とを見つめる。 「? 何? カカシせんせぇ」 「ねぇ、ゲンマ君に変なことされたりしてない?」 「変なことって?」 「え〜とあの・・・その・・・」 「えっちとか、やらしいこと言ってんの!」 グビグビ飲むアンコが、言いにくいカカシの手助けでずばっと言った。 「なぁカカシ、は記憶戻ったんだろ? 何か、昔と変わってねぇ気がするが・・・」 「ん〜、って、元からこういう純粋な性格みたい。神様だったから、純粋培養で、俗世間を知らないんだよ」 「成程ね・・・」 「遠回しに言っちゃ、には伝わらないわよ! 、ゲンマに胸揉まれたりとか、服脱がされて裸にされて触られたりとかはしてないのかって事!」 「アンコ!」 「う〜ん? されてないよ?」 てっきりしてるもんだと、とカカシは安堵した。 「なぁ〜んだ、つまんないの」 「でも、前はちょこっとあったよ」 カカシは思わず含んでいた酒を吹き出した。 「それがどうかしたの?」 「あ、前って、あの時か・・・」 「え〜、ナニナニ?」 面白そう、とアンコは目を輝かせる。 「こっちの話。国から戻ってきてからは、ゲンマ君とは何もしてない?」 「うん」 「ならい・・・」 ほっとして、グラスに口を付ける。 「でも、チューくらいならいつもしてるよ」 カカシは再び吹き出した。 「なっ、なななっ・・・」 「優しく撫で撫でしてくれるのv」 ニコ、とは微笑む。 「ダッ、ダメでしょ〜ッ!」 「何で?」 不思議そうに、は大きな黒玉をきょろんとさせる。 「何でって、だってはオレのでしょ!」 ゲンマ君のじゃないでしょ、とカカシは膨れる。 ゲンマさんのモノでもないし、敢えて言うなら、木の葉のモノ、ときょとんとしている。 「そうよね。女を所有物気取りする男なんて、最低だわ」 「ハイ、愚痴! 一気して!」 「う・・・っ」 グィッ、とカカシは飲み干した。 「前と言ってることが違うじゃないか・・・絶対ゲンマ君の入れ知恵だよ・・・」 「でもさ、、何でカカシのトコ出たの? カカシってば、とイチャイチャラブラブ出来なくって、相当鬱憤溜まってるみたいだから。もっと時間作って、カカシとえっちしなきゃダメよ〜?」 「アンコ! 変な言い方すんな!」 「私、独り暮らしってしたこと無いから。カカシせんせぇがお家空けてた時もすぐゲンマさんのトコ行っちゃったし、ちゃんと自立して、しっかりしたいんです。独り暮らしもお勉強です。カカシせんせぇのトコにいたら甘えちゃうから、会いたいのも我慢してて。だから、今日は会えて嬉しいv」 ごろにゃん、とはカカシにべったりしがみついていた。 「会えない分だけ、会えた時は何倍も嬉しいってヤツね。まぁね〜、これからっていうのに、今から始終べったりじゃ、倦怠期もすぐだもんね〜。正解だわ」 「あのね、嫌なこと言わないで」 「久し振りに会えれば、恋心が燃えさかって、2人は熱く結ばれるのねv ちゃんとえっちしてる?」 「アンコ! 余計なこと言・・・」 「えっちって?」 「セックスのこと。性行為よ。分かるでしょ?」 「あぁ、仲良しすること?」 「仲良し?」 またメルヘンな、とアスマはくわえていた煙草を落としそうになった。 「仲良しすることでしょ? カカシせんせぇがすっごく優しくって、お姫様みたいなことでしょ?」 「ん〜まぁ、そうね。で? してるの?」 「あのね、オレ達はま・・・だ・・・」 「いっぱいしたよねv」 ニコ、とはカカシを見つめる。 「えっ?!」 カカシは仰天して、食べていた食事を喉に詰まらせかけた。 「ちょちょ、、一体・・・」 「いっぱいしたでしょ?」 「あ、あぁ、途中までのことか。それは、前のことでしょ。最後まではまだ・・・」 「な〜によ〜、まだ最後まで行ってない訳? だっらしな〜い!」 「最後までって?」 「だからぁ〜」 「アンコ、待って。下品なこと言わないでよ。あのね、。子供が出来る行為は、カカシとしてるの?」 「カカシと一つに繋がったのかって事!」 「アンコ! もう・・・っ」 「うん。あるよ」 「えぇっ?!」 声を上げたのは、カカシだった。 「え・・・したっけ? オレ・・・」 「う〜んとね、もう言ってもいいよね? ゲンマさんに言うなって前に言われてたんだけど、カカシせんせぇ、でろでろに酔っぱらって帰ってきたことあったでしょ? その時とか」 にぱ、とは微笑む。 「え・・・オレ、泥酔して勃たなくって寝たんじゃ・・・」 「一杯優しくしてくれたよv」 「ちょっと待って、ゲンマ君に口止めされてたって・・・」 「お〜い、聞いてる〜? って、もしかしてまだあるの? 実は夢で見たのはホントは全部現実だったとか言うんじゃないよね?」 カカシは真っ赤になって、動揺していた。 「そんなに一杯夢で見てる訳?」 一同は呆れ返った。 「あ・・・いやその・・・」 「ま、いいや。後、これはカカシせんせぇもちゃんと覚えてるでしょ? 10年前の」 「あ・・・っ」 そっか、と思い出すとどうにも照れて動揺を隠せない。 「10年前って?」 「え、もしかして・・・」 「アレ? カカシせんせぇ、皆に話してないの? カカシせんせぇの10年前の捜し人って、私だったんですv」 「うっそ〜!」 「髪も瞳も赤くないじゃない! 年だっておかしいわよ!」 「あ、私はホントは、髪も瞳も赤いんです。力を封印してるから、黒くなってますけど」 「でも、年が・・・」 「おかしいですか? カカシせんせぇに初めて会ったの、13の時ですよv」 「えぇっ?!」 真っ先に驚いたのはカカシだった。 「何で驚くの? 今23なんだから、10年前は13でしょ?」 「で、でも、どう見てもオレと同じくらいだったけど・・・」 っていうか、今と変わってない、とカカシは動揺しまくっていた。 「あ〜私ね、見た目って余り変わらないの。10歳くらいの頃からしか記憶無いけど、その頃から、今と変わらなかったよ」 「13のと・・・13・・・13・・・」 「うっわ〜、カカシってば犯罪〜!」 「そうだっけな〜。カカシ、10年前の女と、毎日ヤリまくってたんだろ? それがってこたぁ、もう念願叶ってんじゃねぇか」 「アスマ!」 「カカシせんせぇに最初に会ったのは、ホントに偶然だったけど、2度目は必然だったんだよ。運命の赤い糸で結ばれてたんだよねっ」 「ほ〜。何処にあるの? その糸とやら。見たトコ、の指には何もないけど・・・」 アンコが面白そうに、の手を覗き込んだ。 そしてちろっとカカシを見遣る。 「こんなトコでは渡さないよ! 2人っきりの時にちゃんと良いムードでね・・・」 「指輪は用意してる訳ね」 「ま、何にせよ、10年前から、もう結ばれてた訳ね。半年前にも結ばれてたんなら、そう焦らなくてもいいじゃない」 「オレは覚えてないんだよ! ねぇ、ゲンマ君は、何で口止めしてたの?」 オレに意地悪して面白がってたんだ、と口を尖らせる。 「あのね、一杯仲良ししたのに、それを覚えてなかったら、可哀相だからって。私も、カカシせんせぇが覚えてなくて、寂しかったし」 「た、確かに覚えてなきゃ意味無いけどさ・・・」 ハタ、とカカシはあることに気付いた。 「あ、あのさ、。ゲンマ君に、どこまで話したの? オレとのこと・・・」 「カカシせんせぇとのことは、全部話してるよv どんな話したとか、どんなことしてくれたかとか、ぜ〜んぶ」 カカシはクラリと目眩がした。 の純粋さが、この時ばかりは恨めしくなる。 キラキラ輝く笑顔で、は嬉しそうに話した。 「・・・ゲンマ君って、オレのモノになれって、に言ったりしないの?」 「ん〜、言われたことはないよ」 「そ、そう・・・」 「オレにしとけよ、とは言われたけど」 それは違うよね? とクピクピ呑みながらカカシを見上げる。 「言ってるんじゃん!」 ゲンマめぇ、とカカシは怒り沸騰だった。 「はその時何て答えたの?」 紅の問い掛けに、カカシは我に返った。 「う〜んと〜、カカシせんせぇじゃなきゃダメって」 ぴと、とカカシにしがみつく。 先程の怒りは何処へやら、カカシは天にも昇る気持ちでにへらにへら笑っていた。 「何を?」 「のことは諦めろってか?」 「それがどうした?」 「私、今は“”っていう名前でどっちも登録してるんですけど、“不知火”にしたいんです。でも、ゲンマさんはダメだ、って」 私、ゲンマさんの妹なのに、とは呟く。 「って、どういう意味?」 「えっと、私が生まれて住んでた聖地の名前が、って言うんです。でも、私、自分の名前、嫌なんです。ホントはっていうのも嫌なんですけど、もう定着しちゃってるから、苗字だけでも、変えたくて」 「何で嫌なの?」 「だって、って、日出ずる処の国に降誕する神の名前なんですよ。過去幾多の神々も、同じ名前で。だから、神としてじゃなくて、私だけの、名前が欲しいんです。10年前にカカシせんせぇに会った時、名乗らなかったけど、後から、名前付けてもらえば良かったなぁ、って」 「・・・ねぇ、。アンタ、神としての自分が、そんなに嫌?」 「え・・・嫌っていう訳じゃないですけど、ずっと自分の存在を疑問に思ってたから・・・普通の人になりたいって思ってて・・・」 「あのね、。よく聞いて。私達は、この世に産んでくれた親に感謝する。名前を付けてくれて自我を持つことを感謝する。アンタだって、神とか何とか言っても、同じ事なのよ。天界が遣わしてくれたから、カカシにも会えた。この世に生を受けたことを感謝しないでどうするのよ。アンタを慕って名を謳う国の人々を無下にするつもり? 自分の存在する意味を、全て否定する気? 自分を否定しないで、感謝しこそすれ、嫌うのは間違ってるわ。自分を認めなさい。“”は、アンタが此処に存在することの証よ。ね?」 紅が滔々と説くのを、皆は黙って頷いていた。 「はい・・・ゴメンナサイ・・・」 「ゲンマが断ったのも、それを言いたかったのよ。世の中、似た顔の人間が3人はいるって言うけど、同じ名前の人間なんて、掃いて捨てるほどいるのよ? どっちみち、アンタが生きている限り、次の“女神”は降臨しないんだから、“”はアンタだけよ。考え方を変えなさい」 「はい。紅さん、有り難う」 はかしこまって正座して、ペコ、と頭を下げた。 「でもさ〜、ゲンマ君、絶対を不知火にさせたくないのは、別の理由だって」 「ま、そうでしょうけどね」 以外は、全員思っていた。 不知火の籍に妹として入れたら、と結婚出来ない。 ゲンマはまだ諦めていないのだ、と。 「堅くなっちゃったわね。、任務どう? 大変?」 「あ、んと、アケビせんせぇが丁寧に教えてくれて、その通りにやってます。いつも褒めてくれるから、ちゃんと出来てると思います」 「アケビって、オマエらと同い年だっけ?」 酒をあおりながら、カカシはアスマと紅を見遣った。 「えぇ。アカデミー同期よ」 「オレはチーム一緒だったぜ」 「アタシら特別上忍の中でも、アケビはかなり優秀よ。諜報部隊の副隊長だもの」 ちなみに隊長はゲンマである。 「ゲンマつながりで、のことは詳しく聞いてる訳ね。の特性を上手く掴んでるようね」 「ゲンマはの一番の理解者だからな。は色んな能力を持ってるだろうから、上手く使えば、かなり里に貢献出来るだろうな」 「え、ホントですか?!」 嬉しそうに、は瞳を輝かせる。 「一番の理解者はオレだよ!」 ぷく、とカカシは膨れる。 「ゲンマだっつの」 「ふ〜んだ。皆は知らないだろ? が諜報部隊向きの理由」 「純粋だから?」 「それもあるけど、はね、チャクラをゼロにしても、術が使えるんだよ」 「へ〜、何で?」 「本来持つ能力っていうのかな、チャクラを感じ取れるヤツにも感じ取れないオーラで、術を発動出来るんだ」 「便利ねぇ。敵だと悟られずに、葬ることを聞き出すことも出来るんだ」 「一般人になりすませられるんなら、これだけの美人だし、敵は油断するよな」 それから、場は忍びについて、談義していた。 「ふぅ、呑んだし食べたし、喋ったわね」 「何でオレが払うんだよ〜」 割り勘にしようよ、の分は払うけど、とカカシは膨れる。 「愚痴言ったでしょ。これからと楽しいことするんでしょ? 手間賃よ」 「う・・・」 そう言われると、喉が鳴る。 「じゃ、解散ね。オヤスミ〜」 全員散り、カカシとは歩いて帰路に就いた。 はカカシにべったりしがみついて、ご機嫌だ。 カカシも鼓動が逸り、気が急いた。 「久し振りだね、こうやって2人で歩くの」 「う、うん・・・」 心は既に、めくるめく桃色の世界だった。 カカシのアパート前まで来て、カカシはゴクリと唾を飲み込む。 「よ、寄ってくでしょ?」 というより、泊まっていって、という意味でカカシはを見遣る。 「え? 帰るよ。もう遅いし」 「えっ、何で?!」 カカシは拍子抜けで、愕然とする。 「あのね、しっかり自立出来るまで、任務以外で外泊はしないって決めてるの。今カカシせんせぇのお家に寄っちゃったら、帰りたくなくなるモン。甘えちゃいけないから、帰る」 じゃ〜ね、とは帰ろうとする。 「ま、待ってよ! 別にいいじゃない。自立を妨げる甘えと、オレに甘えることは、意味が違うでしょ? オレ、を帰したくない」 きゅ、とカカシはを抱き締める。 「え〜でも〜・・・」 「・・・」 カカシはを塀に押し付け、口布を下げて唇を塞いだ。 「ん・・・っ」 啄むように求め、濃厚に貪っていく。 「ん・・・、ぁふ・・・っ」 往来ということを忘れ、の身体をまさぐり、撫で回した。 唇を割って舌を入り込ませて、の舌を絡め取る。 が時折漏らす喘ぎ声が、カカシの思考を溶かしていった。 「・・・愛してるよ・・・」 名残惜しそうに唇を離すと、カカシはを抱き上げ、部屋に連れて行こうとした。 それをはするりと身を捩って、カカシの求愛から逃れた。 「っ?!」 「カカシせんせぇのお家に入っちゃったら、帰りたくなくなるよ。甘えちゃうよ。それはダメなの。私、しっかりしたいの」 だから帰る、とは口をきつく結んだ。 「オレには甘えていいんだよ! !!」 「カカシせんせぇ、明日は任務ある?」 「え? 行けば何かあると思うけど・・・特には・・・」 「私、お休みなの。明日の昼間デートしよ?」 「え・・・っ」 「じゃ〜ね、オヤスミv」 目映い笑顔を残して、は走っていった。 「もう・・・は言い出したら頑固だって事、忘れてたよ・・・」 結局これからも振り回され続けるのか、とカカシは目眩を覚えた。 |