【南瓜―成熟編―】







 、21歳。

 私には好きな人がいます。

 この里の忍び。

 特別上忍の、不知火ゲンマさん。

 私の働く八百屋の昔からの馴染みのお客さんで、かぼちゃが大好きでいつも買っていくあの人。

 ずっと憧れていたのが、つい最近、それは恋だと自覚しました。

 言葉はぶっきらぼうだけど根は優しいゲンマさんは、時々、私の休みの時に昼食に誘ってくれます。

 買い物に付き合ってくれたりもします。

 店員とお客。

 それ以上の関係ではなかったけれど、前よりは近付けた気がして、嬉しかった。

 問題なのは、年齢が8つも離れていて、ゲンマさんに私は子供としか映っていないであろう事。

 もうすぐ三十路で、結婚しないのか、女はいないのか、と周りにとやかく言われる、とぼやいていましたが、それでも私のことは対象になっていないみたいです。

 それは寂しいけれど、私に向かって笑いかけてくれるだけでも、喜ばなくっちゃなのです。

 年齢差は大きい。

 私みたいなお子様が、大人なゲンマさんに女として見てもらえるのは無理がありそうです。

 でも・・・やっぱり女として見てもらいたいな。

 ゲンマさんは優しい。

 子供扱いはしないで、レディ扱いはしてくれるけど、恋愛対象の女として見てもらいたい。

 私って我が儘かな。

 この気持ちはいつになったら伝えられるんだろう。

 自分に自信がもてたら伝えようと思ってた。

 でも、尻込みばかりしてる、ダメな私。

 時々一緒に食事をして、買い物をする。

 それもデートだよね。

 ゲンマさんは彼女いないから、私が一番ゲンマさんに近い存在。

 そう思って、今日も一日元気に働いてきた。

 ゲンマさんは、元気な私を好いてくれるから。

 それが特別な感情じゃなくても、嬉しいと思う。

 明日は待ちに待ったお休み。

 またゲンマさんと一緒にご飯が食べられる。

 本音を言ったら私の作ったご飯を食べて欲しいけど、勇気が出なくてまだ言えない。

 次のお休みには、思い切って私から誘ってみよう。

 お弁当作って、アカデミーに行けばいい。

 でも、まずは明日。

 何着ていこうかな・・・。









 今日は勇気を出して、アカデミーまで迎えに来てみた。

 ゲンマさんは此処で大抵いつもお仕事をしてると聞いたから。

「懐かしいな、アカデミー。増築されて、大分変わったけど」

 逸る気持ちを抑えて、前で待つ。

 一緒に並んで歩きたい。

 もっと、長い距離を。

 そう思って、図々しいと分かっていて、来てしまった。

 敬遠されたらどうしよう。

 ドキドキしながら晴れ渡る青空を眺めていると、ポン、と頭に触れてくる手。

「おぅ、どうした」

「ゲンマさん! 退屈してたから、迎えに来ちゃいました。あの・・・迷惑でした?」

 ビクビクしながら、はゲンマを見上げる。

「あ? 何でだよ。迷惑だったら誘わねぇだろ。行こうぜ」

 クイクイ、と指で誘いを掛けて、歩いていく。

 嬉しくって、頬の筋肉をほころばせながら、ゲンマさんの後を付いていく。

「おい」

「え?」

「いつも言ってんだろ。オマエ小せぇんだから、後ろ歩かれちゃ、付いてきてんのか分かんねぇだろ。隣歩けよ」

「え・・・あ・・・ハイ・・・」

 とてとて、と頬を染めて隣に並ぶ。

「女は男の一歩後ろを歩く、なんて奥ゆかしいのも結構だが、オレは歩くの早ぇんだ。歩調を合わせられねぇだろうが」

 ゲンマさんは優しいなぁ。

 いつもこうやって、私のことを気遣ってくれる。

 嬉しくって、つい鼻歌まじりに歩いてしまう。

「ご機嫌だな。何かいいことでもあったか?」

「えっ、ううん。何でもないです」

「そうか? 随分楽しそうだがな」

「だって、こんなに格好いい人と一緒に歩けるんだもん。道行く人も振り返ってくし、気分よくって」

「バ〜カ。おだてたって何も出ねぇよ。振り返っていくのは、オマエが美人だからだよ。オレじゃねぇ」

 こんなやり取りも、全てが楽しい。

 歩く距離が長い分だけ、いつもと違った会話も楽しめる。

 思い切って迎えに来て良かった。





 店に入ると、いつものように定食とかぼちゃの煮物を頼む。

 色んな店に連れてってもらって、此処の煮物が一番美味い、とか、あそこは今イチ、とか、ゲンマさんのかぼちゃ談義を聞くのも楽しかった。

 ホントにかぼちゃが好きなんだなぁ。

 目を輝かせて、子供みたいで可愛い。

 私も八百屋に勤めている為、なまじ他の人より知識があるから話に付いていける分、ゲンマさんも喜んでくれる。

 好きな人との会話がかぼちゃについて、なんて色気が無いかも知れないけど、私は自分の仕事が好きだし、これでいいの。

 何てったって、かぼちゃで知り合った縁だもん。

 私が八百屋で働いていなかったら、ゲンマさんがかぼちゃ好きじゃなかったら、出会う筈もなかった。

 一般人と忍びの壁は大きいよ。

 ゲンマさんはそういうことを気にしないからこうやって誘ってくれるけど、やっぱり私は尻込みする。

 八百屋のおじさんに聞いた。

 ゲンマさんは、特別上忍で特殊任務に就いてるから、地位は高い方なんだって。

ゲンマさんも、任務では小隊長ってのを務めてるって言ってたから、それって偉いって事なんだよね。

 偉いって言うか、優秀って言うのかな。

 大人で、何でも分かってるって感じで、優しくって、仕事ができる優秀な人。

 一般人に当てはめて考えても、凄いって分かる。

 そこへ行くと、私はアカデミーすら卒業できない、忍びには不向きな落ちこぼれで、元気なことだけが取り柄の、他には何もない、お子様。

 ゲンマさんが私を女として見てくれなくって当たり前。

 あぁ、何でもっと早く生まれてこなかったんだろう。

 せめて、年齢差だけでも埋めたいのに。

 大人のお付き合いをしたいよ。

 私だってもう成人してるんだから。

 一応、同じ20代なんだし。

 年齢差なんて関係ないって思うけど、実際こうやってゲンマさんと相対してると、やっぱりゲンマさんは大人で、私はまだ子供。

 でも・・・その事をゲンマさんに言う勇気がないんだな。

 最初の頃は会えるだけで幸せで、憧れだけだったのが、恋だと自覚して、こうして時々一緒にご飯食べられるくらいの仲にまで近付いているけど、恋する乙女は贅沢で我が儘なんだよね。

 今でも充分幸せなのに、これ以上の幸せ、これ以上の進展を望んでる。

 食べ終わった後いつものように少し買い物に付き合ってもらうと、ゲンマさんは仕事に戻る。

 その繰り返し。

 今度の休みは、手料理を食べてもらおう。









 いざそう思ってはみても、なかなか切り出せなかった。

 夕方買い物に来るゲンマさんとは、いつものように軽い世間話をするだけ。

『男の人とお付き合いしたことないから、免疫ないんだよね。どうしたらいいのか分かんない』

 仕事が終わって家に帰ってきて、ベッドに倒れ込む。

『今度ゲンマさんの作ったかぼちゃの煮物食べさせて下さいよ、とか、私の作ったの食べて下さい、とか、その短い台詞をどうやったら勇気出して言えるんだろう』

 何度も食事を一緒にしてるし、世間一般で言う、親しい仲の部類に入る筈。

 男の人に免疫が少ない為、気軽に言えないでいる。

『私って意気地なしだなぁ・・・』

 風呂上がり、ゲンマさんが買ってくれた髪留めを握り締めて、ウトウトと眠りに落ちていった。





 夢の中のゲンマさんは、とても優しかった。

 私をお姫様のように恭しく扱い、エスコートしてくれる。

『ゲンマさん・・・私、ゲンマさんが好きだよ・・・』

 ムニュムニュと寝言で呟く。

『オレは・・・』

 ゲンマさんの返事を聞く前に、目覚まし時計のけたたましい音で目が覚めてしまった。

「あ〜あ。夢の中でくらい、恋人同士になりたかったなぁ」

 ゲンマさんは何て言ってくれたんだろう。

 目覚まし時計め。

 壊しちゃうぞ。















 仕事が終わり、は帰路に着いていた。

「あ〜あ。今日はゲンマさん来なかったし、会いたいよ〜」

 しゅんとして呟きながら店を出てすぐのところで、目の前に影が降り立つ。

 は驚いて、後退りした。

「よぅ。店はもう終いか。遅くなっちまったな」

「ゲンマさん!」

 途端にはぱぁっと花が咲いたように笑顔になる。

「任務が長引いてな。しょうがねぇ、今日はあり合わせのモン食うか・・・」

 食材あったかな・・・とゲンマは思案していた。

「っと、それより・・・、仕事帰りだろ? ってことは飯まだだろ」

「あ、ハイ」

「オマエ成人してるし、酒飲めるよな?」

「え・・・ちょっとなら・・・」

「よし、決まりだ」

「え?」

、飲みに行こうぜ」

「えぇっ?!」

 ゲンマの発言に、は鼓動が逸る。

「迷惑か?」

「そ、そんな、とんでもない! いいんですか?」

「オマエとは、いつも昼飯食ってちっと買い物して、の繰り返しだけだったしな。たまにはいいだろ」

 は嬉しくて、頬の筋肉が緩む。

「酒酒屋でいいか?」

「ハイ! でも、ホントに私なんかご一緒していいんですか?」

「あ? いつも一緒に飯食ってる仲じゃねぇか。遠慮すんなよ。さ、行こうぜ」





 酒酒屋に着いて向かい合わせの席に着くと、ゲンマはメニューを開いた。

「此処は中華だから、かぼちゃの煮物がねぇのが難点なんだよな」

 眉を寄せて吐き捨てるゲンマに、は思わず吹き出す。

「ゲンマさんって、ホントにかぼちゃ好きですね。だったらそういうのがある居酒屋にすればよかったのに」

 そう言いながら、は思ってもいなかった、願っても無い展開に、ドキドキしっぱなしだった。

「たまには中華も食いたくてな。此処は酒が旨いから、いいんだよ。はどういう酒が好きだ?」

「ん〜、甘口の飲み口が爽やかなのですね。ゲンマさんって思いっ切り辛口が好きそう」

 ドキドキを悟られないように、平静を務める。

「ま、その通りだが。料理どうする? 適当に頼んでいいか?」

「お任せします。此処って何でも美味しいって聞いてるから」

 店員を呼んで注文し、それぞれの酒が運ばれて来ると、乾杯をした。

 それだけで、はもう幸せ一杯だった。

「オマエ最近綺麗になったよな」

 クィッと酒を呑み干すゲンマは、の瞳を見つめながら、言い放った。

「え・・・そうですか?」

 酒を口に含むは、舞い上がって殆ど味も分からない。

「女は恋をすると変わるって言うからな。彼氏でも出来たか?」

「そ、そんな人いませんよっ」

「そうか? まぁ、オレなんかと飯食ったり飲んだりしてるようじゃな。オレ、オマエに男が出来るのを妨げてるんじゃねぇか? 迷惑だったら言えよ」

 料理が運ばれて来て食べ始めると、ゲンマは次の酒を注文する。

「そんなことないですよ! ゲンマさんに誘ってもらえて、嬉しいんです。いっつもゲンマさんみたいに格好いい人見てたら、他の人じゃ物足りないんですよ。ゲンマさんより格好いい人が現れなきゃ、無理です」

 真っ赤になってグビグビと呑み干し、は料理を食べ始めた。

「あぁ? オレより格好いいヤツだぁ? そりゃ、そう現れねぇだろうな。オマエ理想が高ぇな、

 ニヤニヤとゲンマは次の酒を呑みながら、の分を注文する。

「な〜んてな。オレってそんなに格好いいか? 柄悪ィだの口悪ィだの目付き悪ィだの、散々言われてるぜ、オレ」

「格好いいです! だから私は理想が高いんです!」

 パクパク、とは頬を染めながら料理を食べていく。

「オレが秤か? オマエにゃ、年相応のマトモなヤツがいくらでもその辺にゴロゴロしてるだろうがよ」

「ゲンマさんみたいに大人で格好いい人ばかり見てたら、同じ年頃の人なんて子供に見えちゃってダメです。って、同じく子供の私が言ったら笑われるんでしょうけど」

 “年相応”。

 は胸が痛む。

「オレはロクな大人じゃねぇがな。言っとくが、オレはオマエをガキだと思ったことは無いぜ。小っこいとは思ってるがな」

「え・・・」

「ま、呑め、食え。明日は仕事か?」

「いえ、休みですけど」

「じゃ、時間を気にせずどんどん行け。ちゃんと送ってってやるからよ」

「有り難う御座いま〜す」

 は嬉しくて、パクパクと料理を口に運んだ。

「しっかしオマエ、いつも思ってるんだが、ホントよく食うよな。見てて気持ちいいが、それで太りもしねぇで、何処に栄養行ってるんだ」

 感嘆しつつも、ゲンマもガツガツと頬張っている。

「あ〜っ、どうせまた何で身長に行かないんだって言うんでしょ!」

 プク、とは膨れる。

「何だよ、ホントのことだろうが」

 ニヤニヤと笑いながら、ゲンマは酒をあおる。

「仕事のエネルギーになってるんです!」

「元気いいもんな、オマエは。っつ〜か、胸に行ってンのかと思ったが・・・」

 の胸は、テーブルに載る程豊かだ。

「何処見てんですかっ」

 真っ赤になっては腕で胸を覆い隠す。

「いや、デケェなと」

 ゲンマは別にいやらしい目で見たりはしていなかった。

 普通に感嘆しているようだった。

「大きいの気にしてるのに・・・」

「小さいの気にしたり大きいの気にしたり、大変だな、オマエは」

 ゲンマさんはいつも目を見て話す。

 頼りになる存在。





 ほろ酔い気分で、は酒をあおった。

 憧れの人と2人で居酒屋デート。

 ムードは無いかも知れないが、それでも嬉しくて天にも昇りそうな勢いだった。

「ゲンマさんこそ、その、彼女作らないんですか?」

 酔って大胆になってきているは、日頃の想いを吐き出すように問うてみた。

「あ? 言っただろ、オレも出会いがねぇって」

 グビグビと酒をあおるゲンマは、顔色一つ変えずに酒を飲み干し、料理を貪っていた。

「理想が高いんですか? 実は面食いとか」

 も負けずに酒を呑み、料理を食べる。

「別に気にしたことねぇな。目と鼻と口がありゃ、顔なんてどうでもいい」

「どういうのがタイプなんですか?」

「女のタイプか? そうだな・・・明るくて元気がよくて、目が澄んでて笑顔が似合うヤツ、かな」

「やっぱり面食いなんだ〜〜」

「そうかもな」

「当てはまる人いないんですか?」

「ん〜まぁ、いなくはねぇが、そういうんじゃねぇしな」

「どういう意味?」

「ま、いいだろ。そういうオマエのタイプってのはあるのか?」

「ゲンマさんみたいな人!」

 にぱ、と笑ってご機嫌では答える。

「それじゃ分からねぇだろ。詳しく言え」

「優しくって大人で、目が澄んでて頼れる人!」

「オレがそうだってのか?」

「うん!」

「そうかねぇ・・・?」

 ふとその時、見知った人物がゲンマに声を掛けてきた。

「あれ、ゲンマさんじゃないですか」

「イワシ! オマエも呑んでたのか。トンボが一緒か?」

「えぇ、まぁ。イズモやコテツも一緒です。何処かで聞いた声がさっきからすると思ってたら・・・綺麗な人と一緒なんですね。デートですか?」

「まぁな」

 イワシはを見遣った。

「ゲンマさんは酒強いから、ゲンマさんのペースに合わせちゃダメですよ? ゲンマさんは里一の酒豪で誰もゲンマさんに敵わないんですから。里一のエリート・はたけ上忍だって、酒に関してはゲンマさんに敵わないんですよ」

「え〜っ、ゲンマさんってそんなに強いんですかぁ?」

「そう、だから潰れちゃいますよ。気を付けて下さいね?」

「うるせ〜な。ちゃんと送ってくよ。余計な心配すんな」

「送り狼に・・・はならないですよね。ゲンマさんはストイックな人だから」

 じゃ、失礼します、とイワシはトイレに向かった。

「えへへ」

「何だ? 。イワシが何か変なことでも言ったか?」

「ううん。これもデートなんだなぁって思ったら嬉しくって。私、男の人とデートってしたことなかったから」

「男と女が出掛けりゃ、デート以外の何だってんだ。仕事じゃねぇだろうが」

 デートかと訊かれてゲンマが否定しなかったことが、には嬉しかったのだ。

 でも、どうせならさっきの人、“彼女ですか?”って訊いてくれればいいのに。

 ゲンマさん、何て答えただろう。

 きっとこうだな。

 “バ〜カ、そんなんじゃねぇよ”

 そう思うとはしゅんとする。

 でも、もしかしたら、さっきみたいに“まぁな”って言ってくれたかも知れないよね。

 ゲンマさんにとって、こうやって時々デートしてくれる私って何なんだろう。

 考えたくなくて、は殊更酒を浴びた。







 夜も更け、酒の量もかなりになっていた。

 は思考が覚束ない。

 が、ゲンマはケロリとしてガンガン呑んでいる。

「ゲンマしゃん・・・やっぱりお酒強〜い・・・」

 とろけそうな顔でゲンマを見つめる。

「オマエはそろそろヤベェな。酒は打ち止めにして、料理食ってろ」

「ねぇ、ゲンマさん・・・私、好きな人がいるのね・・・でも、勇気が出なくて、想いを伝えられないんだ・・・どうやったら、勇気が出せるのかなぁ・・・教えて、ゲンマさん」

「そう言われてもなぁ。オレも恋愛に関しちゃ、そう詳しい訳でも達者な訳でもねぇし。そうだな、オマエは元気があって美人だ。断るヤツなんかそういねぇよ。思ってること、ぶちまければいいんだよ。臆することなんかねぇ」

「そっかな・・・私って綺麗なの?」

「あぁ。自分に自信もてよ。オマエは美しい」

「でも・・・でもね、その人は私のことなんか恋愛対象には見てくれないの。釣り合わないんだぁ・・・」

「そういうモンか? オマエみたいに元気で活発で、美しい女に思われて、嫌がるヤツはいないだろうよ。オマエ、気にしすぎだよ。そういうトコ、オクテなんだな」

 いい若いモンが、情けねぇ、とゲンマは酒をあおる。

「好きなの・・・好きなのぉ・・・」

「そうか。そこまで思われて、幸せなヤツだな」

 はテーブルに突っ伏した。

「・・・おい? ?」

 ゲンマが覗き込むと、はスースーと寝息を立てている。

「ヤベェな。呑ませすぎちまった」

 お開きにするか、とゲンマは残った酒を飲み干した。



















『ゲンマさん・・・ダ〜イスキ・・・』

 は温かい温もりに包まれて、ふわふわと心地好い空間を漂っていた。

 陽光が照らす。

 明るさにピクリと身体を震わせるが、己を包む心地好さに、暫し身を委ねていたかった。

「ん・・・ぅん・・・」

 は目を擦りながら、うっすらと目を開けた。

 馴染みのない匂いがする。

 でも、優しい匂い。

 目に飛び込んで来た天井が見覚えのないもので、はぱっちりと目を見開いた。

「ココ・・・何処?」

 途端に襲い来る頭痛。

「ったぁ〜〜〜〜・・・」

 何かごつい感触と柔らかい感触を感じる。

 こめかみを押さえながら、は辺りを見渡そうと首を捻る。

 そして、心臓が飛び出そうになった。

 首を捻るとそこには、ゲンマの顔があったのだ。

「えぇ〜〜〜っ?!」

 ゲンマの腕枕で、しがみついて寝ていた。

 待って、何が一体どうなってるの?!

 は考え込む。

 そうだ、昨夜仕事帰りにゲンマさんに会って、お酒に誘われたんだ。

 酒酒屋で呑んで、食べて、一杯お話しして・・・。

 途中からの記憶が無い。

 此処は私の家じゃない。

 ゲンマさんがいるって事は、ゲンマさんの家?

 鼓動を高鳴らせ、は着衣を確認する。

 ちゃんと着ていた。

 昨日の仕事の時のまま。

 ゲンマさんは・・・ベストと額当てはしてないけど、忍服。

 寝息を立てているゲンマさんの寝顔に、鼓動が脈打つ。

「ん・・・」

 ゲンマが眠りの淵から起きてくる。

 は慌てふためいた。

「もう朝か・・・おはよう、

「おおっ、おはようございます!」

 思わず声が上擦る。

 ゲンマは肘を突いて上体を僅かに起こした。

 落ちてくる前髪をうるさそうに掻き上げる仕草が何とも色っぽい。

「あのっ、私、何かゲンマさんにご迷惑お掛けしたみたいで・・・すみません!」

 ベッドの上で正座して、は頭を下げる。

「あぁ、いや・・・それより悪かったな。送るって言ってたのに、オマエ泥酔しちまって起きなかったから、家が分からなくてオレん家に連れてきちまった」

「すす、すみません・・・!」

「調子に乗って呑ませたオレが悪ィんだよ。女相手だってのに、加減が分からなくてな。悪かった」

「いえ、そんなことないです! 調子に乗ってたのは私です! 自分の加減も分からない程呑んじゃって・・・」

 心臓がバクバクして、壊れそうだった。

「オマエ、今日は仕事休みだって言ってたよな? 急がなくていいんなら、シャワー浴びてこいよ。そのまま寝ちまったから、汗かいたままで気持ち悪ィだろ?」

 案内する、とゲンマはベッドから下りる。

「いいです、悪いです。家に帰ってからで・・・」

「あぁ、着替えがねぇもんな。じゃあオレ、ちょっくらパパッと浴びてくるから、待っててくれ」

 ホントに早風呂で、ゲンマは戻ってきた。

 濡れた髪から滴り落ちる水滴が色っぽくて、ドキドキする。

、顔洗ってこいや」

 これタオル、と新しいタオルをに差し出す。

「あ、有り難う御座います」

 が顔を洗って戻ってくると、ゲンマはくわえ楊枝で台所に立っていた。

「待ってろ、朝飯すぐ用意するから」

 手慣れてる感じで、ゲンマは用意していく。

 ゲンマさんの手料理が食べられるんだ。

 嬉しい!

 は逸る鼓動を抑え切れずに、ドキドキしながらゲンマの背中を見つめていた。

「昨日買い物できなかったから、あり合わせのモンしかねぇが。さ、食え」

 朝食には、ちゃんとかぼちゃの煮物も用意されてあった。

「いただきま〜す」

 ドキドキを抑えつつ、味噌汁に口を付ける。

 熱さが、二日酔いの頭を覚めさせた。

 そして、ずっと食べたいと願っていた、ゲンマの手作り煮物。

「美味しい・・・!」

「そうか。口に合って良かった」

 ゲンマも食を進めていく。

「それはそうと、悪かったな、オレと一つベッドで。生憎オレの部屋のソファは1人掛けだし、オマエがオレの服にしがみついて離れなかったんでな。一緒に寝るのもどうかと思ったが、他に手がなくてな。何もしてねぇから安心しろ」

「そんな! ご迷惑掛けたのは私です! すみませんでした」

「いいって」

 “何もしてない”

 して欲しかった、なんてちょっぴり思ったり。

 私、もう大人だよ?

 そんなに魅力ないのかな。

 色々考えていると、食べ終わって片付け始めたゲンマを見て、慌てても食べ終わり、席を立った。

「後片付けは私がします!」

「いいよ。気にすんな」

「だって、ただお世話になってばかりじゃ心苦しいです。やらせて下さい」

「そうか? 却って気を遣わせて、悪ィな」

 ゲンマは湯飲みを2つ用意して、急須に茶葉を入れ、お湯を注いだ。

 まずは1つだけ茶を注ぎ、口を付ける。

 の片付けが終わると、もう1つの湯飲みにも茶を淹れて、差し出した。

「有り難う御座います」

 ふ〜ふ〜と冷ましながら、茶を含んだ。

「このお茶美味しいですね」

「そうか? 近所の専門店に売ってるから、気に入ったんなら、今度買いに行けよ」

 はゲンマの家にゲンマと2人っきりというのに鼓動が逸って、落ち着かなかった。

 所在なげに、辺りを見渡す。

「この家って、随分広いですね。ゲンマさん独り暮らしでしょ? 部屋余ってるみたい」

「ん〜・・・まぁな」

「そっちの部屋は? 使ってないんですか?」

「あぁ。妹の部屋だ」

「妹? ゲンマさん独り暮らしじゃ・・・」

「11年くらい前だったかな。戦争で失った。血気盛んな男勝りの妹でな」

 ゲンマは寂しそうに微笑む。

「・・・何て・・・名前ですか?」

「エルナだ。不知火エルナ。オレより6つ下だった」

「あ! 何か聞き覚えあります! アカデミー行ってた頃、2つ上に、優秀なくの一候補がいるって」

「へぇ。そうか、年が近いからアカデミー行ってた時期も同じか」

 ゲンマが寂しそうに語るのを見て、何でその空いている部屋に私を寝かさなかったのか言おうとしたが、やめた。

 大切にしているのだ。

 妹との思い出を。

 だから封印してるんだ。

 でも、そのお陰でゲンマさんと一緒に寝られたんだから、不謹慎だけど良かったかも。

「あぁ、そうだ。、二日酔い酷いだろ? これ頭痛薬。飲んでおけ」

 ゲンマは薬箱から小瓶を取り出す。

「あ、有り難う御座います。でも、ゲンマさんのご飯が美味しくて、大分良くなっちゃいました」

「バ〜カ、おだてたって何も出ねぇって言っただろ。さて、もう出掛ける時間だな。昨夜ちゃんと送っていくって言った手前、ちゃんと送ってってやらねぇとな」

「え、いいですよ。お仕事遅れちゃいます」

「大丈夫だよ。まだ時間は早い。忘れモンねぇか?」

 玄関を出て鍵を掛けると、ゲンマはおもむろにを抱き抱えた。

「ゲ、ゲンマさんッ;」

「オマエん家は何処だ?」

 心臓をバクバクさせながら、は住所を答えた。

「案外近ぇな。って、当たり前か。じゃ、、しっかり掴まってろよ」

「え・・・きゃあっ」

 ゲンマはを抱えて、屋根を上を軽快に跳んでいく。

 の為に、スピードは遅くして。

 それでも一般人のには、相当早く感じた。

 いや、感じる余裕もなかった。

 ゲンマの腕の中。

 それだけでもうドキドキして仕方がない。

 嬉しくって、ずっとこのままでいたくて、どうして近所に住んでいるんだろう、とこの時ばかりは思ってしまった。

 のアパート前まで来るとゲンマはゆっくりとを立たせた。

「じゃあ、昼にまた。二日酔い治るまで、ゆっくり寝とけ」

 そう言って柔らかな笑みを残し、ゲンマは再び跳んで消えた。











 ゲンマに貰った薬が効いて少しばかり眠ったは、今日こそは手作り料理を食べてもらおう、と、調理に取りかかった。

 大分仲が深められたことでるんるん気分のは、鼻歌まじりにバスケットに詰めていく。

 ゲンマさんが美味しいって言ってくれたら、勇気を出して告白しよう。

「いっけない。時間かかっちゃった。少し遅れちゃったよ」

 慌てては出掛けていく。

「ゲンマさん、もう近くまで来てるかな・・・」

 アカデミーで食べる予定だったんだけど、どうしよう、といつもの通りに向かう。

「ウチに来てもらえばいっか・・・」

 人混みの中、はゲンマを探す。

 ゲンマは背が高いから、すぐに見つけられる筈。

 案の定、すぐにあの特徴ある額当ての巻き方をした頭が見えた。

「いた! ゲンマさ〜・・・」

 言いかけて、は身が固まる。

 ゲンマが1人じゃなかったから。





「何よ〜、たまにお昼ご飯くらい付き合ってくれたっていいじゃないよ。相変わらず付き合い悪いんだから」

「やなこった。オマエの昼飯って、団子とか汁粉とかだろうが。見てる方が気持ち悪くならぁ」

「人の好物とやかく言われたくないわね。自分だって甘さたっぷりのかぼちゃ大好きな癖に」

「かぼちゃの甘さと団子の甘さを一緒にすんな。テメェ1人で食え」

「ケチ〜」

 引っ張られる腕を、うるさそうにゲンマは払う。





 我知らず、は後ろを向いて駆け出していた。

 会話はよく聞き取れなかったが、親しそうだというのは分かった。

 多分私より少し年上の、恐らくくの一の人。

 綺麗な人だった。

 そうだよね。

 ゲンマさんが私に全てを話してくれてる訳ないんだ。

 私の知らない、親しい女の人がいたって、おかしくないんだ。

 ゲンマさんは優しいから、いつも私に気を遣ってくれてる。

 ホントのことを言ったら私が遠慮すると思ってるんだよ。

 は家に駆け込むと、バスケットの中身を全てゴミ箱に捨て、ベッドに突っ伏した。

 声を殺してすすり泣く。







いねぇな・・・二日酔い治ってねぇのか?』

 アンコのしつこい誘惑から逃れたゲンマは、キョロキョロと辺りを見渡しての姿を探す。

 の家まで行ってみようかとも思ったが、具合が悪いのなら起こしたら悪いし、アンコに捕まっていたせいで時間ももう余りない。

 仕方無しに、ゲンマは1人で食べることにした。









 翌日の夕方、任務帰りにゲンマはいつものように八百屋に向かった。

 しかし、店先にの姿は無かった。

「オヤジ、今日ははどうした?」

「あぁ、ゲンマさん。いやね、時間になっても来ないから様子を見に行ったら、具合悪いらしくて休むって言われてね。この通り、看板娘がいないから売上激減だよ」

「風邪か?」

「さぁ、ただ具合が悪いとしか。ゲンマさん、と親しくしてくれてただろ、良かったら見舞いにいってやってくれんかね」

「分かった」

 怪訝に思いながら、暫し考え込んで、ゲンマは一旦自分の家に戻った。







 は昨日の昼からずっと、ベッドに突っ伏していた。

 動く気力がなかった。

 泣き腫らして、目蓋が膨れ上がっている。

 ドアをノックされる音がしても、またおじさんが来たのかな、と思った。

 時間の感覚が無くて、今はまだ店をやってる時間だ、と気付かない。

?」

 その声にはドキリとする。

 ドア越しにくぐもって聞こえる、低い声。

「ゲンマ・・・さん? 何で・・・」

 はゆっくりと上体を起こした。

 そして玄関前まで歩いていく。

 昨日から何も食べていない為、力が湧かなくてフラフラする。

? いるんだろ? 開けてくれ」

 いつもと変わらない、柔らかな優しい声。

 大好きな低い声。

「どう・・・したんですか?」

「今日店に行ったら、オマエがいねぇから。具合悪くて休んでるって聞いたからよ。昨日の昼も来なかったから、二日酔いが酷かったのか、それとも風邪でも引いたのかと思ってな。・・・大丈夫か? 具合は」

「・・・大丈夫です。・・・ゲンマさん、私じゃなくても、他に一緒にご飯食べてくれる人いるでしょ」

「あぁ? たまに仲間と食う時もあるが、オレは昼はいつも1人だよ。一緒すんのは、オマエくらいだ」

「でも・・・昨日いた人とか、女の人だって・・・」

「アンコのことか? ありゃ絡まれてただけだよ。特別上忍仲間だ。って、何で知ってるんだ? 見てたのか?」

 ゲンマの問いに、は黙って答えない。

「・・・もしかして、変な気ィ遣ってんのか? アンコは単なる仕事仲間、ただの同僚だぜ。女として見ちゃいねぇよ。前にも言ったように、オレは結婚とかは全然考えてねぇから。だから余計な気ィ遣わねぇで・・・」

「ごめんなさい・・・」

 それだけ振り絞って、は吐き出した。

 暫しの時が流れる。

 ゲンマはまだドアの前にいるようだ。

 もそこから動けない。

 ゲンマに会いたい。

 顔が見たい。

 でも、今は会えない。

「・・・何があったか分からねぇが、元気出せよ」

 そう言い残すと、ゲンマは帰っていった。

 突き動かされたように、はドアを開ける。

 ゲンマの姿は既に無い。

 その代わり、何かの袋が置いてあった。

 持ち上げると、ほんのり温かい。

 中を確かめると、お粥鉢だった。

 そしてメモ用紙が一枚。





 “また一緒に昼飯食おう。 ゲンマ”





「ゲンマ・・・さん・・・」

 信じていいの?

 特別な女の人はいないの?

 私が一番近いんだって思っていいの?

 メッセージが書かれた紙を握り締めると、ポロポロと涙が溢れ出す。

 蓋を開けると、かぼちゃのお粥が湯気を立てた。

「甘・・・」

 優しい甘さ。

 それはゲンマの優しさ。

 空腹と空っぽの心に、一杯に染み渡っていった。











 翌日からは仕事に復帰した。

 心配してくれていたおじさん達にも謝って。

 まだ自分に自信は持てないけど、明るく元気に仕事しよう。

 そうすればゲンマさんは笑いかけてくれる。

「いらっしゃい、いらっしゃい! 今日も安いよ!」

「おぅ、かぼちゃくれ」

 夕暮れに、店内の灯りで逆光に照らされる背の高い人。

 楊枝をくわえて悠然と佇んでいる。

「きょ、今日のは特別いい出来ですよ。煮物に天ぷらに、何でも合いますよ」

「そうか。じゃあ丸ごとくれ」

 は声を上擦らせながら、今日のお勧めを案内する。

「元気になったようだな。良かった」

「え・・・」

「心配したんだぜ? オレが呑ませすぎたのが悪かったのか、寝かせ方が悪くて風邪引かせちまったのか、って」

 高楊枝で、柔らかな笑みを向けてくる。

「な、何でもないんです・・・私が勝手に落ち込んでただけだから・・・」

 はゲンマと目が合わせられない。

「何だよ、何か嫌なことでもあったか?」

「ううん。自己嫌悪だから、気にしないで下さい」

 ゲンマはずっとを見つめている。

 しかしはゲンマを見ることができない。

 訝しんでいたゲンマは、暫し考え込むと、奥にいた店主に声を掛けた。

「おぅ、オヤジ! ちっと借りるぜ」

 そう言ってゲンマは、代金を置くと買物袋と共にを抱えて屋根の上に跳び上がった。

「ゲゲ、ゲンマさん?」

 突然の行為に驚いて、は恐る恐るゲンマを伺い見る。

「オレは目を合わせずに話すのは嫌いなんだ。、オレに何か隠してるだろ? オレとオマエの仲じゃねぇか。相談があるなら聞くぜ?」

 どんな仲?

「だ、だから何もないですってば」

 は迷った。

「ちゃんと聞かせてもらうまで、降ろしてやらねぇぞ」

「そ、そんな・・・」

「さぁ、言えよ? 何なんだ? 一体」

 の心臓はバクバクして破れそうだった。

 言うべきか、否か。

 今言わなきゃ、ゲンマさんには呆れられてもう相手にもされないかも知れない。

 でも、言って答えがノーだったら、それも尚更気まずくて、もう食事にも誘ってもらえなくなるし、買い物に来られてもちゃんと相手できないかも。

 あぁ、どうしよう。

「ちゃんと言ってくれよ。オレ、しっかり聞くから。な?」

「・・・きなんですっ!」

「あ?」

「私・・・っ! ゲンマさんのことが好きなんです!!」

「・・・は?」

 暫しの時が流れた。

 には永遠にも感じられた。

 ゲンマは呆気に取られたように、を見つめていた。

「私、ゲンマさんが好きです。ゲンマさんとは年が凄く離れてるから、ゲンマさんには私はお子様にしか思えないかも知れないけど、ずっとずっと好きでした。昔からずっと憧れてて、お昼とか一緒できるようになって、凄い嬉しかった。私の思いなんかゲンマさんには迷惑だろうけど、でも好きなんです!」

 俯いていたは、最後にはしっかりとゲンマの目を見つめて言いきった。

・・・」

 ゲンマはゆっくりとの頭を撫でた。

 あぁ、やっぱり私はゲンマさんから見たらお子様なのかなぁ。

 告白なんて初めてだから、伝わったのか自信無いよ。

「ハ、ハイ!」

「・・・今夜、オマエん家行っていいか?」

「え・・・?」

「昨日の器返してもらって・・・」

 何だ、そういうことか。

 ビックリしてドキドキしちゃったよ。

 はしゅんとする。

「今度はオマエの作ったかぼちゃの煮物、食わしてくれるか?」

「え・・・」

 材料は買ってあるぜ、とゲンマは優しく微笑む。

「オマエの仕事が終わった頃に行くよ。酒も買って・・・また呑もうぜ」

 は涙を流してゲンマの胸に飛び込んだ。

 そしてゲンマの囁きに赤面する。





 “朝までコースで行くか?”







 ゲンマさんって・・・もしかして隠れスケベ?

 冗談だよ、とゲンマは笑う。

 は、羽根でも生えて飛び立ちそうな程、喜びの渦の中で極上の笑顔をゲンマに向けた。

 この恋はまだ始まったばかり。

 ようやく一歩を踏み出した2人は、これからだった。









 END.







 や〜・・・(脂汗
 「私○○、◎◎が好きなのv」
 何て言う定番ドリームを書いてしまうとわ。
 ヒロインの一人称って難しい。
 途中で挫折。
 砂を吐きながら、もしかしたら収穫編があるかも知れません。